周産期母子医療センター(読み)シュウサンキボシイリョウセンター(その他表記)Perinatal Medical Center

デジタル大辞泉 「周産期母子医療センター」の意味・読み・例文・類語

しゅうさんき‐ぼしいりょうセンター〔シウサンキボシイレウ‐〕【周産期母子医療センター】

周産期の母体・胎児新生児に生じる突発的な事態に、24時間態勢で対応する緊急医療施設。産科・新生児科のほかに、内科外科精神科などが連携して医療を行う。新生児集中治療室NICU)を9床以上、母体胎児集中治療室MFICU)を6床以上備え、極めて高度な周産期医療を行うことのできる総合周産期母子医療センターと、基準を満たしていないが比較的高度な周産期医療を行うことのできる地域周産期母子医療センターとがある。いずれも都道府県が指定する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「周産期母子医療センター」の意味・わかりやすい解説

周産期母子医療センター
しゅうさんきぼしいりょうせんたー
Perinatal Medical Center

生命の危険がある妊婦、胎児、新生児を24時間体制で受け入れ高度医療を行う緊急医療施設。周産期は出産前後を意味することばで、妊娠22週から生後7日未満の期間をさす。周産期母子医療センターは重い妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、合併症妊娠切迫早産、胎児異常などに対応し、産科や新生児科のほか内科・外科・精神科などが連携して医療を行う。慢性的に産科医分娩(ぶんべん)施設が不足し、晩婚化で低体重児などリスクの高い出産が増えるなか、産科医療の「最後の砦(とりで)」とされる。

 厚生省(現、厚生労働省)が1996年(平成8)に指針を設けて整備支援を始めた。周産期医療の中核を担う「総合周産期母子医療センター(総合センター)」と、それに近い設備や医療従事者数をもつ「地域周産期母子医療センター(地域センター)」の2種類があり、都道府県が指定する。このうち総合センターは、新生児集中治療室(NICU:neonatal intensive care unit)9床以上、母体・胎児集中治療管理室(MFICU:maternal-fetal intensive care unit)6床以上、治療中の新生児を転院搬送するドクターカーなどを保有し、つねに2人以上の産科医が待機し、常時受け入れ可能な体制を整えている。2014年(平成26)4月時点で全国に総合センターが100施設、地域センターが292施設ある。通常の分娩は地域の医療施設(病院、診療所、助産所)が受け持つが、生命の危険がある母子については、不足する産科医を集中させた周産期母子医療センターで対応することで効率的に高度な治療を行うねらいがある。

 しかし、2008年には、脳出血を起こした妊婦が八つの病院から受入れを拒否され、総合周産期母子センターである東京都立墨東(ぼくとう)病院で出産後に死亡する事故があった。このため厚生労働省は2010年に指針を改定し、産科以外の緊急医療にも対応できる機能を総合センターに指定するための条件に加えた。同省は都道府県に対し補助金を交付して周産期母子医療センターの整備を支援している。

[編集部 2015年3月19日]

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