精選版 日本国語大辞典 「呼出」の意味・読み・例文・類語
よび‐だし【呼出】
- 〘 名詞 〙
- ① 出頭するように呼ぶこと。よびだすこと。召喚(しょうかん)。
- ② 江戸時代、訴状を受理した奉行所で訴訟関係者を召喚すること。また、その文書。呼出し状。
- [初出の実例]「一名主又者主人親兄を相手取候出入は、裏紙差紙不レ遣呼出遣す」(出典:憲教類典‐四・六評定・寛保二年(1742)(古事類苑・法律五六))
- ③ 江戸時代の銭湯で、陸湯(おかゆ)をくみ出す枡形の所。呼出し口。
- [初出の実例]「浄湯(をかゆ)をくむ升形の所を呼出(ヨビダ)しといふはな」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四)
- ④ 相撲で、取り組む力士の名を呼び上げて土俵に上らせたり、土俵の整備や取組の進行、あるいはやぐら太鼓を打ったりする役。また、その者。前行司。呼出し奴。
- ⑤ 江戸新吉原で、遊女の格の一つ。太夫・格子の位がなくなった寛政(一七八九‐一八〇一)の頃、散茶から出て太夫・格子に代わったものの称。張見世をしないで、茶屋を通して交渉し、遊興に応じた。細見記には入山形に星(または)の印で示し、「よびだし」と付記してある。呼出しおいらん。呼出し女郎。
- [初出の実例]「足下(そこ)の悟道は暫契(ヨビダシ)を迎に来る」(出典:洒落本・禁現大福帳(1755)四)
- ⑥ 江戸深川などの岡場所で、求めに応じて茶屋などで客に接する女郎の称。呼出し芸子。
- [初出の実例]「呼出しは晴天八日きゃくかふへ」(出典:雑俳・柳多留‐五(1770))
- ⑦ 江戸吉原などの遊里で、女郎の逃亡・心中などを防止するために、夜間に行なう点呼のこと。
- ⑧ 連歌・俳諧で、恋や花の句を上手につけさせるために詠む前句。
- ⑨ 義太夫節の三味線で、事件が一段落した後、新しい人物の登場をつげる旋律を演奏すること。
- ⑩ =うしろ(後)⑪
- [初出の実例]「うしろうたふとは、呼出(ヨビダ)しのことかいな」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)六)
- ⑪ 長唄の囃子(はやし)で、大小鼓の頭(かしら)を高音の掛け声で同時に打ち、次句の唄を引き出す手法。
- ⑫ 「よびだしでんわ(呼出電話)」の略。
- ⑬ 電話などを用いて、指定の場所に商品などを持って来させ、その商品やつり銭を巧みにだまし取ることをいう、詐欺師仲間の隠語。〔隠語輯覧(1915)〕