呼吸器系の薬(読み)コキュウキケイノクスリ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版の解説

呼吸器系の薬とは


 私たちが息を吐いたり、吸ったりするための器官が呼吸器で、咽頭いんとう喉頭こうとう(のど)、気管気管支などの臓器で成り立っています。


 呼吸器は、出入りする空気の通り道であることから気道とも呼ばれ、鼻からのどまでを上気道、気管から肺までを下気道といいます。


 呼吸器の病気のうち、上気道の病気に用いる薬は耳鼻咽喉科・歯科・口腔用剤で解説してあります。


 気管から肺にかけての下気道には、さまざまな病気がおこり、原因や症状に応じていろいろな薬が使い分けられます。


 細菌などの病原微生物の感染が原因の気管支炎、肺炎であれば化学療法剤〔感染症治療剤〕を用い、気管支喘息ぜんそくのように、気管支の内腔ないくうが狭くなって空気の通りが悪く、呼吸困難におちいっている病気には気管支喘息治療剤気管支拡張剤を用いるといった具合です。


 ここでは、気管支拡張剤と、いろいろな呼吸器の病気の症状としておこるせきとたんを解消する鎮咳剤ちんがいざい去痰剤きょたんざいについて解説します。


 気管支拡張剤 収縮している気管支の内腔を広げ、空気の通りをよくして呼吸困難を解消する薬で、交感神経刺激剤、キサンチン系製剤があり、内服、注射、吸入といった方法で用います。


 交感神経刺激剤は、気管支の収縮を緩和させて、気管支内腔を広げます。


 キサンチン系気管支拡張剤は、体内に存在しているc-AMPという気管支の収縮を緩和する物質の発生を増やして気管支内腔を広げますが、量が多すぎるとけいれん、手の震えなどの副作用が出るので、血液中の薬の一定の量を測り、その人に合った使用量を決めます。


 交感神経刺激剤とキサンチン剤は、併用するとそれぞれが少量で高い効果をあげます。


 抗アレルギー剤 喘息発作を誘発する物質の発生を抑える薬で、副作用が少ないので長期間使用できます。


 鎮咳剤 せきは、気管・気管支の粘膜の炎症や、誤嚥ごえん、胸膜の病気でもおこりますが、気管・気管支内にある有害物を排出しようとする防御反応のことが多いのです。そのようなせきは止めないほうがよいのですが、体力を消耗させる激しいせきや、心臓に悪影響を与えたり、睡眠を妨げたりするせきは、止める必要が出てきます。そこで用いられる薬が、鎮咳剤です。


 鎮咳剤には、せき中枢の興奮を鎮めてせきを止めるもの、せき中枢に刺激が伝わらないように神経伝達路を遮断しゃだんするもの、気管支の緊張を緩和してせき発作を止めるものなどがあります。


 去痰剤粘液溶解剤) たんが気管や気管支内にたまっていると空気の通りが悪くなり、また、たんが培地ばいちとなって細菌などが繁殖しやすくなります。


 したがって、たんは排出したほうがよいのですが、気管、気管支の粘膜が乾燥していたり、たんの粘り気が強かったりすると排出しにくく、のどにからんだりします。このようなたんを排出しやすくする薬が去痰剤です。去痰剤には、たんの粘り気を低下させて排出させやすくする薬、たんを溶かして排出させやすくする薬などがあります。


 鎮咳剤と去痰剤の両方の作用をもった薬も開発されています。


交感神経刺激気管支拡張剤


キサンチン系気管支拡張剤


鎮咳剤


去痰剤(粘液溶解剤)


フドステイン製剤


抗線維化剤


抗コリン性気管支拡張剤


長時間作用性気管支拡張剤


吸入副腎皮質ホルモン剤


吸入副腎皮質ホルモン・β2刺激薬配合剤

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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