和田伝(読み)ワダ ツトウ

20世紀日本人名事典 「和田伝」の解説

和田 伝
ワダ ツトウ

昭和期の小説家



生年
明治33(1900)年1月17日

没年
昭和60(1985)年10月12日

出生地
神奈川県厚木市

学歴〔年〕
早稲田大学仏文科〔大正12年〕卒

主な受賞名〔年〕
新潮社文芸賞(第1回)〔昭和13年〕「沃土」,神奈川県文化賞〔昭和30年〕「日本農人伝」,厚木市民文化賞,厚木市名誉市民

経歴
厚木の豪農の家に生まれ、早大仏文科卒業。大正12年「山の奥へ」を「早稲田文学」に発表してデビュー。昭和13年「沃土」で第1回新潮社文芸賞を受賞。ほかに、戦後農村民主化を背景に地主一家の崩壊を描いた「鰯雲」、明治末から戦後までの3代にわたる地主一族を主人公にした大河小説「門と倉」など、一貫して農村に生きる人々の哀歓を描き続けた。「和田伝全集」(全10巻)がある。日本農民文学会の初代会長。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「和田伝」の意味・わかりやすい解説

和田伝
わだでん
(1900―1985)

小説家。本名伝(つとう)。地主の長男として神奈川県に生まれる。県立厚木中学校から早稲田(わせだ)大学高等予科に入り、1923年(大正12)文学部仏文科を卒業。その年、処女作『山の奥へ』を発表、また『早稲田文学』編集に携わる。大正末から昭和初年にかけ、旧師吉江喬松(よしえたかまつ)らによる農民文芸会に参加。32年(昭和7)相模野(さがみの)の生家に帰り、『村の次男』(1934)あたりから本格的な作家生活に入る。第一創作集『平野の人々』(1936)に続く『沃土(よくど)』(1937)で第1回新潮社文芸賞を受賞。38年、農民文学懇話会が結成されると幹事長につくなど、戦争下にも日の当たる場所にいたが、作風は一貫して堅実さを示した。54年、伊藤永之介(えいのすけ)らと日本農民文学会をおこして初代会長となり、機関誌『農民』を発刊した。『日本農人伝』(1951~54)、『鰯雲(いわしぐも)』(1957)、『風の道』(1961)、『門と倉』(1972~74)などがある。

[高橋春雄]

『『和田伝全集』全10巻(1978~79・家の光協会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「和田伝」の意味・わかりやすい解説

和田伝
わだでん

[生]1900.1.17. 神奈川,南毛利
[没]1985.10.12. 神奈川,川崎
小説家。 1923年早稲田大学仏文科卒業。同年『山の奥へ』を書き恩師吉江喬松 (たかまつ) らの農民文芸会に参加。帰郷後『村の次男』 (1934) ,『一町三反』 (34) で認められた。以後創作集『平野の人々』 (36) ,長編『沃土』 (37) などに農村の諸相を描き,農民文学の第一人者と目されるにいたった。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「和田伝」の解説

和田伝 わだ-でん

1900-1985 昭和時代の小説家。
明治33年1月17日生まれ。吉江喬松(たかまつ)に師事。昭和12年刊の長編「沃土(よくど)」で第1回新潮社文芸賞。同年農民文学懇話会初代幹事長。29年日本農民文学会初代会長となる。昭和60年10月12日死去。85歳。神奈川県出身。早大卒。本名は伝(つとう)。作品はほかに「鰯(いわし)雲」「門と倉」など。

和田伝 わだ-つとう

わだ-でん

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367日誕生日大事典 「和田伝」の解説

和田 伝 (わだ つとう)

生年月日:1900年1月17日
昭和時代の小説家
1985年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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