(読み)た

精選版 日本国語大辞典 「咫」の意味・読み・例文・類語

た【咫】

〘名〙 (「あた(咫)」の略) 上代の、長さを測る単位一つ親指中指とを広げた長さをいう。「八咫鏡(やたのかがみ)」「八咫烏(やたがらす)」など。
播磨風土記(715頃)賀古「御(みはかし)八咫(やた)の劔の上結(うはゆひ)に八咫(やた)勾玉

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デジタル大辞泉 「咫」の意味・読み・例文・類語

し【咫】[漢字項目]

[音]シ(呉)(漢) [訓]あた
中国周代の長さの単位。約一八センチ。わずかの距離。「咫尺しせき
難読八咫烏やたがらす

た【×咫】

あた(咫)」に同じ。「がらす

あた【×咫】

上代の長さの単位の一。親指と中指とを広げた長さ。
「その鼻の長さ七―」〈神代紀・下〉
[補説]一説に、親指と人さし指とを広げた長さともいう。箸について、使いやすい長さの目安は「一咫半」とされる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【尺貫法】より

…そのため経済・文化の近代化,国際化に適合しにくく,1958年12月末日をもって原則として廃止され,取引,証明に使える法定単位ではなくなった。 古代の日本で使われていた単位としては,記紀などに〈ひろ(尋)〉〈あた(咫)〉〈つか(握)〉などが見られるが,尺貫法の祖型は古代中国の度量衡制に求められ,一部に古代朝鮮の高麗法の影響があるといわれている。日本で度量衡制度が成立した時期は定かでないが,《扶桑略記》(1094∥嘉保1ころ)に〈舒明天皇12年(640),始定斗升斤両〉とあり,《続日本紀》(797∥延暦16)に〈大宝2年(702),始頒度量于天下諸国〉とあるところから見て,標準供給を伴う度量衡単位系の制定をみたのは7,8世紀のこととされており,701年制定の大宝令による度量衡の単位は,《令義解》などによれば,ほぼ表2のごときものであったという。…

【度量衡】より


[語義と出典]
 度,量,衡の3文字は順に,長さ,体積,質量を意味し,同時にそれぞれをはかるための道具(ものさし,枡,はかり)や基準を意味する。なお衡と類縁の文字で権(けん)というのもあるが,これは,はかりそのものではなく,分銅のほうを指す。これら4文字をさまざまに組み合わせた語が古くから用いられており,例えば度量という語は,人の心の広さを指すのに用いられ,また他方では度量衡,度量権衡などの語と同義的にも用いられて,〈長さ,面積,体積,質量をはかること,これらの量をはかるための道具や基準,また,それらにかかわる法律的,行政的な制度ないし公共的な協約〉を指すものと解されてきている。…

※「咫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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