三種の神器の一つで、巨大な鏡のこと。咫(あた)は長さ(周制の八寸)を表し、その名は「景行(けいこう)紀」や「雄略(ゆうりゃく)紀」にもみえるが、記紀神話で石凝姥(いしこりとべ)(あるいは天糠戸(あめのあらと))によってつくられ、剣・玉とともに賢木(さかき)にかけて日神招迎の神事に用いられた八咫鏡が著名である。天孫瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の降臨にあたって「私の御魂(みたま)として私自身をあがめるように祀(まつ)れ」と天照大神(あまてらすおおみかみ)が命じ、五十鈴宮(いすずのみや)に祀ったと伝承される。この伝承の背後に、鏡を日神の象徴とみる宗教的観念の存在していたことはもちろんであるが、道教で鏡が宇宙の最高神の権力の象徴とされていることとも関連があるとする説がある。
[吉井 巖]
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…天皇家と諸氏族の支配服従関係は擬制血縁関係をもって表現されていたからである。伊勢神宮には三種の神器の一つである八咫鏡(やたのかがみ)がまつられている。この鏡は,ニニギ降臨の際,アマテラスが太陽神にふさわしくみずからの御魂代として授けたものである。…
…前者を内宮(ないくう),後者を外宮(げくう)といい,両宮を併せて伊勢大神宮,大神宮,二所大神宮などとも呼ばれたが,現在では,神宮を正式の名とし,一般に伊勢神宮と呼ばれている。内宮は天照坐皇大御神,その神体として八咫(やた)鏡を祭り,天手力男(たぢからお)命と,瓊瓊杵(ににぎ)尊の母にあたる万幡(よろずはた)豊秋津姫命を合祀し,別宮10社,摂社27,末社16,所管社30などを併せている。《日本書紀》によると,崇神天皇のとき,それまで皇居の中に祭られていた八咫鏡を,その神威を恐れて大和の笠縫邑に移すこととしたが,次の垂仁天皇の代に,皇女倭姫(やまとひめ)命を大神につけ,鎮座にふさわしい土地を求めさせた。…
…鏡はその人の真影を映すので,天照大神は孫瓊瓊杵(ににぎ)尊を大八洲国(おおやしまぐに)につかわすときにこの鏡を渡して,もっぱらわが魂としてわが前にいつくがごとくいつきまつれと勅した。その鏡がいまも伊勢神宮に神体として祭られる八咫鏡(やたのかがみ)であるとする。鏡をもって神体とすること《皇大神宮儀式帳》を見ても,荒祭宮(あらまつりのみや)は大神宮の荒魂(あらみたま)宮と称し御形は鏡であるとする。…
…天皇の位のしるしとして相伝された三種の宝物,八咫鏡(やたのかがみ),草薙剣(くさなぎのつるぎ),八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)の総称。《古事記》《日本書紀》の神代記,神代紀には,天岩屋の物語の中で鏡と玉の,八岐大蛇(やまたのおろち)の物語の中で剣の,それぞれの起源が述べられ,次いで天孫降臨の物語で,これらの宝物を皇祖天照大神が皇孫瓊瓊杵(ににぎ)尊に授け,とくに鏡を大神の御魂代(みたましろ)としてまつるべきことを詔したと記されている。…
※「八咫鏡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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