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咽後膿瘍 いんごのうよう retropharyngeal abscess

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

咽後膿瘍
いんごのうよう
retropharyngeal abscess

咽頭後壁の組織内に膿汁がたまった状態をいう。一般に成人には少く,ほとんどが1歳未満の乳児に起きる。乳児の場合は,鼻や扁桃などの化膿性の炎症病巣から,咽頭後壁の組織内のリンパ節に細菌が侵入することから起きる。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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家庭医学館の解説

いんごのうよう【咽後膿瘍 Retropharyngeal Space Abscess】

[どんな病気か]
 咽頭粘膜(いんとうねんまく)後方(のどのつきあたりの部分)のリンパ節に細菌などが感染して膿瘍ができ、膿汁(のうじゅう)がたまる病気です。
 かつては、幼小児(生後2か月から2歳)に多い病気とされていましたが、最近では、免疫不全(めんえきふぜん)などで全身抵抗力の低下している成人にも発症がみられます(原発性咽後膿瘍(げんぱつせいいんごのうよう))。
 放置すると膿(うみ)が下方の胸腔(きょうくう)にある縦隔(じゅうかく)に流れていき、縦隔炎(じゅうかくえん)という生命にかかわる病気になるので、早く医師の診察を受けることが必要です。
 成人には、結核性頸椎(けっかくせいけいつい)カリエスに続いておこることもあります(続発性咽後膿瘍(ぞくはつせいいんごのうよう))。
 ただし、抗生物質抗結核薬による治療が普及してきた現在では、咽後膿瘍の発生率は減少傾向にあります。
[原因]
 咽頭粘膜の後方の左右にはリンパ節があり、鼻、副鼻腔(ふくびくう)、咽頭、中耳(ちゅうじ)などの領域リンパ節としてはたらいています。これらのリンパ節は、幼小児期には数が多いのですが、成人になるにしたがって萎縮(いしゅく)していきます。鼻や中耳などの炎症をおこしやすい幼小児では、これらのリンパ節に膿瘍ができることがあります。
 咽頭の外傷や異物などにより直接細菌が感染しておこることもあります。
[症状]
 小児と成人では、症状がやや異なります。
 幼小児の初期症状は、機嫌が悪い、食欲がない、発熱(高熱)などで、泣き声が含み声となります。炎症が進むと、鼻呼吸が障害されたり、くびが曲がりにくくなり、痛がったりします。
 成人は発熱、のどの痛み、食事摂取困難などが初期症状で、炎症が進むと口が開きにくい、しゃべりにくい、呼吸が苦しいなどの症状がおこります。
 診察すると、咽頭後壁が半球状にふくれ、さわると波動が感じられます。
[治療]
 外科的な治療で排膿(はいのう)します。咽頭後壁に膿瘍が限局している場合や呼吸困難がある場合は懸垂頭位(けんすいとうい)で口から針を刺し、膿汁(のうじゅう)を吸引するか、切開・排膿します。
 すでに呼吸状態が悪い場合や、膿瘍が下方に進展していると考えられる場合は、全身麻酔をして、気管切開のあと頸部外切開(けいぶがいせっかい)を行ない、排膿します。

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世界大百科事典 第2版の解説

いんごのうよう【咽後膿瘍 retro‐pharyngeal abscess】

咽頭後壁の粘膜下には,顆粒状の小さい多数のリンパ組織がうもれている。これらを咽後リンパ濾胞というが,ときに炎症をおこして膿瘍を形成したものを咽後膿瘍という。一側に偏しておこったものを側咽頭膿瘍という。乳幼児期を過ぎると,これらリンパ濾胞は萎縮するので,この膿瘍はもっぱら乳幼児に発生するといってよい。まれに大人や老人に散見するが,たいていは魚骨などの誤嚥からくる異物によるものが多い。高熱に悩まされ,犬がほえるような咳をし,首のリンパ節がはれるほか,咽頭間腔がせまくなるので,嚥下,呼吸困難ならびに言語障害をおこす。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

咽後膿瘍
いんごのうよう

咽頭の後壁と頸椎(けいつい)との間に膿(うみ)のたまっている状態をいう。乳幼児ではこの場所にリンパ節(咽後リンパ節)が発達しており、かぜなどによる鼻や咽頭の炎症から波及してここに炎症をおこし、化膿して咽後膿瘍となる。このリンパ節は10歳ごろには萎縮(いしゅく)するので、年長者では咽後膿瘍はおこりにくいが、結核性頸椎カリエスによる膿がこの場所にたまることがある。
 症状は、乳幼児では高熱を出し、咽頭の後壁が赤くはれ上がり、もともと狭い咽頭腔(こう)がさらに狭くなるので、呼吸困難のほか、乳汁や食事の嚥下(えんげ)困難もおこし、全身状態が急速に悪化してくる。成人の頸椎カリエスの場合には、乳幼児ほどの呼吸および嚥下の障害はおこらないが、カリエスのため頸部を動かすと強い痛みがある。治療は、原因疾患の治療とともに、膿瘍を切開し、排膿する。[河村正三]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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