改訂新版 世界大百科事典 「営造法式」の意味・わかりやすい解説
営造法式 (えいぞうほうしき)
Yíng zào fǎ shì
中国,北宋時代の官撰建築技術書。将作監の李誡(りかい)(?-1110)によって1100年(元符3)に編修,03年(崇寧2)に刊行。1091年(元祐6)編修した同名の書の不備を改めるべく編纂され,北宋初期の喩皓(じゆこう)の《木経(ぼくけい)》などの先人の成果をもとり入れて集大成したもの。全36巻。看詳(序目),総釈(術語字解)と壕寨(ごうさい)(土木)・石・大木・小木・瓦・塼(せん)ほか諸作(工事)の制度(設計規準)・功限(工数積算)・用料(用材積算)および図様(図面)を収載。たとえば大木作制度では,〈分(ふん)〉を基準単位,枓栱(ときよう)寸法の〈材〉=15分,〈栔(けい)〉=6分を補助単位とし,柱径3材,棟木径1材1栔などのように規定する。この分・材・栔は絶対寸法でなく,建物の規模,格式により8段階に変化する比例寸法であるのが特徴。宮殿,官署,壇廟,城壁などの官営建築工事の経済的統制を目的として編纂された設計要覧書だが,同時に建築史上稀有の資料として価値が高い。
執筆者:田中 淡
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報