嗅ぎタバコ(読み)カギタバコ(英語表記)snuff

翻訳|snuff

デジタル大辞泉 「嗅ぎタバコ」の意味・読み・例文・類語

かぎ‐タバコ【嗅ぎタバコ】

鼻孔にすりつけて、香りを楽しむ粉タバコスナッフ
[補説]パイプ状の本体に、タバコの葉を詰めたカートリッジを装着し、吸い口から香りを吸引する製品もある。
[類語]タバコシガレットシガー葉巻巻きタバコ紙巻きタバコ刻みタバコ噛みタバコ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「嗅ぎタバコ」の意味・わかりやすい解説

嗅ぎたばこ
かぎたばこ
snuff

たばこの葉を粉末状にして鼻孔に塗布し、その香りを嗅ぐもの。たばこと香料が混然として嗅覚(きゅうかく)を刺激するため、爽快(そうかい)感が味わえる。原料となる粉末にはやや粗目のもの、麬(ふすま)状のかなり粗いもののほか、葉の中骨(ちゅうこつ)(葉脈)を粉砕した下級品もある。また粉末にはウェットとドライがあり、ウェットには水分が30%、ドライには17%程度含まれている。どちらを選ぶかは使用者の好みだが、ウェットは水分が多くてあまり深く吸い込めないため、鼻へ深く吸い込めるドライのほうが利用率が高い。製法は葉を刻んだあと、湿気を与えて醸造室で長期間発酵させる。次に回転する釜(かま)のなかで熱処理をして乾燥させ、自動臼(うす)で粗びきしてから自動篩(ふるい)にかけて磁気検査機で異物を取り除く。さらに細かい篩にかけ、肌ざわりのよいきめの細かな粉末にし、バラ、ライラック、メンソールそのほかの香料を添加する。各メーカーの製造工程はほとんど同じだが、最後の香料添加にそれぞれの秘伝があり、独特の製品となる。

 嗅ぎたばこは喫煙風習や噛(か)みたばことともに日本へ伝えられたが、最初止血剤または覚醒(かくせい)剤として薬用に使われ、医者が扱っていた。1700年代のヨーロッパは嗅ぎたばこの全盛時代であったが、19世紀初めごろから紙巻きたばこが出現したため、しだいに人気を失った。しかし現在でも、喫煙できない場所で働く人や、教壇、法廷、病室、あるいは手工業などでパイプや紙巻きたばこに手をとられては作業のできない人たちに使用されている。

[田中冨吉]

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