六訂版 家庭医学大全科 「四肢がしびれる」の解説
四肢がしびれる
ししがしびれる
Numbness in arms and legs
(お年寄りの病気)
どのような状態か
日本語の「しびれ」という言葉には非常に多くの意味が含まれていますが、おおよそ感覚障害と運動障害に分けられます。感覚障害には、
運動障害は、
四肢のしびれは、脳、
必要な検査と疑われる病気
しびれを起こす脳の疾患として、脳出血(のうしゅっけつ)や脳梗塞(のうこうそく)などの脳血管障害があります。脳血管障害の症状は病巣の部位によってさまざまですが、最も多いのは半身の運動麻痺と感覚鈍麻を同時に起こす場合です。脳血管障害は、神経学的な診察とCTやMRIなどの画像検査によって診断されます。
脊髄の障害では、下半身の両側性の運動麻痺と感覚障害が生じ、しばしば排尿障害を伴います。高齢者では脊髄血管障害や転移性腫瘍などによることが多く、MRI検査が最も役に立ちます。
末梢神経の障害では、両手両足に対称性にしびれが生じる場合、一肢だけの場合、神経の走行に沿って帯状に障害される場合など、さまざまな分布を示します。高齢者に多い疾患としては、変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)、手根管(しゅこんかん)症候群、糖尿病性ニューロパチーなどがあります。脊椎X線、針筋電図、神経伝導速度などの検査によって、障害されている部位を特定します。さらに原因を特定するには、血液検査や神経生検が必要になる場合もあります。
家庭での対処のしかた
しびれが急に生じた場合には、たとえ軽度であっても脳血管障害などの可能性があるので、緊急に受診する必要があります。慢性のしびれの場合も、放置すると筋萎縮が生じたりするので、一度は検査を受けて原因を確かめておく必要があります。変形性脊椎症や手根管症候群では、過度の運動をひかえるほうがよいでしょう。
一般的な注意として、バランスのよい食事を心がけたり、冷えや外傷に注意したりすることがあげられます。
飯島 節
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報