四阪島(読み)シサカジマ

デジタル大辞泉 「四阪島」の意味・読み・例文・類語

しさか‐じま【四阪島】

愛媛県北東部、燧灘ひうちなだにある島群。明治38年(1905)銅の製錬所が置かれた。

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精選版 日本国語大辞典 「四阪島」の意味・読み・例文・類語

しさか‐じま【四阪島】

  1. 愛媛県北東部、燧(ひうち)灘にある島群。明神島鼠島梶島家ノ島美濃島からなる。家ノ島に銅の製錬所があった。

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日本歴史地名大系 「四阪島」の解説

四阪島
しさかじま

[現在地名]宮窪町四阪島

ひうち灘の中央にある群島で、五島よりなり、新居浜にいはま今治いまばり尾道おのみち三市からほぼ等距離である。明治二八年(一八九五)から昭和五一年(一九七六)まで、この島に住友の四阪島製錬所があった。

明治一三年の「伊予国越智郡地誌」により各島の当時のようすをみると、

<資料は省略されています>

といった状況であった。

明治二七年、新居浜にあった銅製錬所の煙害が社会問題となり、住友側は製錬部門の四阪島移転を計画した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「四阪島」の意味・わかりやすい解説

四阪島
しさかじま

愛媛県北東部、瀬戸内海燧灘(ひうちなだ)に浮かぶ島嶼(とうしょ)。新居浜(にいはま)市の北北東18キロメートルにあり、美濃(みの)島、家ノ島、梶(かじ)島、鼠(ねずみ)島、明神(みょうじん)島からなる。総面積1.26平方キロメートル。今治(いまばり)市に属す。1895年(明治28)以来住友別子銅山製錬所(べっしどうざんせいれんじょ)が置かれた。江戸時代から開発された別子銅山の鉱石は別子山、端出場(はでば)、惣開(そうびらき)などで粗銅製錬が行われていたが、明治になって生産量が増加すると煙害が増加した。1895年住友は、無人島であった四阪島4島を買収し、製錬所を家ノ島に建設、美濃島を住宅地とし、両者を埋立てで連絡し、1905年(明治38)操業を開始した。しかし亜硫酸ガスの煙害はかえって被害地域を拡大し、越智、周桑(しゅうそう)、新居、宇摩(うま)の東予四郡に及び、製錬鉱量の制限や補償金の支払いがなされ、とくに米麦作期に強化された。1930年(昭和5)ペテルゼン式脱硫装置、1939年中和法の硫黄(いおう)工場が完成し、以降の大気汚染問題は解決した。その後同製錬所はわが国有数の銅製錬所として栄え、1960年(昭和35)には人口3700人、年間銅生産量5万トンに達し、島には診療所学校商店社寺などがあった。1973年別子銅山の閉山、世界的銅鉱業の不況で、1976年同製錬所も閉鎖し、ほとんどの住民が離島した。現在、住民はおらず、製鋼煙灰から酸化亜鉛を回収する工場が操業していて、新居浜港から船で工場に通勤する人がいる。

[深石一夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「四阪島」の意味・わかりやすい解説

四阪島 (しさかじま)

愛媛県北部,新居浜市の沖合の燧(ひうち)灘に浮かぶ4島(明神島,鼠島,家ノ島,美濃島)の総称。総面積約1km2。今治市に属する。中心は製錬所のある家ノ島と社宅がある美濃島で,両島は鉱滓(こうさい)の埋立地でつながる。別子銅山に産する銅を製錬する新居浜市惣開(そうびらき)の製錬所から発する煙害問題解決のため住友が1895年にこれら無人島を買収,1905年に製錬所を移転させた。しかし,煙害はかえって広範囲に及び,越智(おち),周桑(しゆうそう),新居,宇摩各郡の東予一円が大被害を受けた。その後激しい反煙害闘争の中で,30年ペテルゼン式脱硫装置が,39年には中和工場が完成し煙害問題は解決した。島の人口は40年前後には4300人にも達したが,73年の別子銅山の閉山と世界的な銅鉱業不況で76年に銅の製錬所を閉鎖したため島民はほとんどが離島した。その後は,銅滓製錬工場(1976完成)を稼働させるのみで(現在は亜鉛回収のリサイクル事業),従業員は新居浜市から通勤する。そのため事業用の通勤船がある。
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百科事典マイペディア 「四阪島」の意味・わかりやすい解説

四阪島【しさかじま】

愛媛県越智(おち)郡宮窪町(現・今治市)に属し,燧灘(ひうちなだ)にある群島。5小島からなり総面積2km2。1895年住友が買収,煙害問題が起こっていた新居浜の別子銅山製錬所を移して以後銅製錬の島となった。島民のほとんどが製錬所に関係していたが,1973年別子銅山が閉山し,1976年製錬所も廃止,酸化亜鉛製造工場が設立された。
→関連項目岡田温宮窪[町]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「四阪島」の意味・わかりやすい解説

四阪島
しさかじま

愛媛県東部,燧灘にある島嶼。明神島,美濃島,梶島,家ノ島,鼠島の5島 (家ノ島と美濃島の間は精錬かすで埋め立てられている) からなり,今治市に属する。 1895年住友金属鉱山が買収。 1905年別子銅山で採掘された銅の精錬を家ノ島で開始。第2次世界大戦時には従業員など約 4000人が定住した。 1973年銅山の閉山により精錬所は操業を停止。現在は酸化亜鉛工場があるが 1977年には無人化,従業員は新居浜市から通勤する。面積計 1.26km2

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世界大百科事典(旧版)内の四阪島の言及

【新居浜[市]】より

…嘉永年間(1848‐54)には住友の清水惣右衛門が惣開(そうびらき)新田を開発した。明治に入り,惣開には洋式製錬所が設けられたが,1893年鉱山鉄道が開通して本格的操業が始まると煙害問題が起こり,反対運動が続発,製錬所は1905年に燧灘の四阪(しさか)島に移された。 昭和初期,住友によって大規模な築港・埋立工事が計画され,肥料,発電に加えて製錬,化学,機械など住友資本の大工場群が立地する近代工業都市となり,東予新産業都市の中核をなしている。…

※「四阪島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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