囲む(読み)カコム

デジタル大辞泉 「囲む」の意味・読み・例文・類語

かこ・む【囲む】

[動マ五(四)]《古くは「かごむ」とも》
人や物を中にして、その周囲にぐるりと位置する。また、何かを周囲にぐるりと位置させて、中のものが占め得る場所を限る。まわりを取り巻く。「恩師を―・む」「山に―・まれた村里」「記事けいで―・む」
《盤・卓などを囲むところから》囲碁マージャンなどをする。「一局―・む」
[可能]かこめる
[類語]ぐるっとぐるり取り巻く囲う取り囲む巡らす巡る張り巡らす包囲囲繞いじょう遠巻き

かく・む【囲む】

[動マ四]かこむ。取り巻く。
鹿ししじもの弓矢―・みて」〈・一〇一九〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「囲む」の意味・読み・例文・類語

かこ・む【囲】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙 ( 古く「かごむ」とも )
    1. 物の周囲をとりまく。中にとりこめてまわりをふさぐ。かくむ。かこう。
      1. [初出の実例]「営み合ひ囲(カコミ)会ひ」(出典:漢書楊雄伝天暦二年点(948))
      2. 「にげんとするに、〈略〉をかしういひて、かこみてにぐべくもあらず」(出典:落窪物語(10C後)三)
      3. 「夕飯の茶ぶ台を囲んだ時」(出典:竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の散歩)
    2. ( 盤や卓を囲むところから ) 碁を打つ。将棋をさす。マージャンをする。
      1. [初出の実例]「与公春碁、余勝、公春献馬」(出典:台記‐天養二年(1145)六月一五日)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「此僧ども立かこめて、その中に一人かづら縄をもちて」(出典:古今著聞集(1254)一七)

囲むの語誌

( 1 )奈良時代には「かくむ」が一般的で「かこむ」との交替は平安中期以後と考えられ、「色葉字類抄」では両形を併記する。「かこむ」への変化には、類語「かこふ(囲)」の影響があったか。アクセントは両者とも高起式。
( 2 )史記抄」などに京都儒者は「かごむ」と濁音に読んだとあり、他の資料にも散見するところから、異形として相当広く用いられていたと見られる。


かく・む【囲】

  1. 〘 他動詞 マ行四段活用 〙 まわりを取り巻く。かこむ。
    1. [初出の実例]「若草の 妻も子供も をちこちに さはに可久美(カクミ)居」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四〇八)
    2. 「十月九日太上天皇つはものをおこして、内裏をかくみたまひしかば」(出典:水鏡(12C後)下)

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