巡る(読み)メグル

デジタル大辞泉 「巡る」の意味・読み・例文・類語

めぐ・る【巡る/回る/×廻る】

[動ラ五(四)]
周囲をまわる。周囲に沿って進む。「池を―・る」
周囲を取り囲む。取り巻く。「城の周りを堀が―・る」
あちこちまわり歩く。巡回する。「諸国を―・る」
まわって再びもとに返る。「春がまた―・ってくる」「―・る月日
ある事柄中心としてそのことに関連する。「環境問題を―・って話し合う」「一人の女性を―・って争う」
一点を中心として回転する。
「(水車ガ)大方―・らざりければとかく直しけれども」〈徒然・五一〉
輪廻りんねする。
「深き契りある仲は、―・りても絶えざなれば」〈・葵〉
この世に生きる。世の中に交わる。
「我かくてうき世の中に―・るとも誰かは知らむ月のみやこに」〈・手習〉
まわ[用法]
[可能]めぐれる
[類語](2ぐるっとぐるり囲む取り巻く囲う巡らす取り囲む張り巡らす包囲囲繞いじょう遠巻き/(3回る経巡る渡り歩く巡回巡行遍歴回転旋回回す巡らす一巡り一巡一回り一周半周周回転回流れ歩く流れ渡るうろつく二転三転彷徨ほうこう流浪るろう漂流回歴転転/(5関わる関する当該当事からむ関係関連連関連係相関関与交渉かかわりつながり結び付き掛かり合い引っ掛かり絡みかかまつわるかかずらあずか掛かり合う係わり合うかまける掛かりっ切り

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「巡る」の意味・読み・例文・類語

めぐ・る【巡・廻・回】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. あるものを中心にして、円を形づくる。物の周囲をひとまわりするようにとりかこむ。
    1. (イ) 平面的にぐるりとかこむ。
      1. [初出の実例]「射水川 いゆき米具礼(メグレ)る 玉くしげ 二上山は」(出典:万葉集(8C後)一七・三九八五)
      2. 「宮を環(メクリ)て城を築いて」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))
    2. (ロ) 立体的に回転する。
      1. [初出の実例]「日は〈略〉此の経王の力に由りて、暉を流して四天を遶(メグル)」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九)
      2. 「つばくらめ子産まむとする時は尾をささげて、七度めぐりてなむ産み落すめる」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. 周囲をまわる。一定経路を経て移動する。
    1. (イ) 移動して、一巡する。
      1. [初出の実例]「輪宝前に道びきたるを後に余の宝随ひて四大洲を巡(メグル)」(出典:地蔵十輪経元慶七年点(883)八)
      2. 「さかづきのめぐりくるもかしらいたく覚ゆれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
    2. (ロ) 読経などしながら仏像のまわりを歩く。行道(ぎょうどう)する。
      1. [初出の実例]「馬、自づからに寺の金堂に行道(メクル)」(出典:日本書紀(720)斉明四年一一月(北野本訓))
    3. (ハ) 一定の軌道に乗って、あるいは、一定の経路の中を移動する。循環する。
      1. [初出の実例]「地球は日を周(メグ)りて転じ月は地球に随ひて環(メグ)る」(出典:小学入門(甲号)(1874)〈民間版〉)
    4. (ニ) あることを中心としてそれに関連する。まつわる。「そのことをめぐって議論する」
      1. [初出の実例]「母の言葉の放った光りに我身を縈(メグ)暗黒を破られ」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三)
  4. あちこちに移動する。
    1. (イ) あちこち歩きまわる。あちこち動きまわる。
      1. [初出の実例]「国米具留(メグル)獦子鳥(あとり)(かま)(けり)行きめぐり帰(かひ)り来までに斎(いは)ひて待たね」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三三九)
      2. 「既に祭行、介山に遊き、安邑を回(メクル)」(出典:漢書楊雄伝天暦二年点(948))
    2. (ロ) 思いや考えが去来する。あれこれと考える。
      1. [初出の実例]「興望は旅中にあれば、感腸頻に廻て、思、休みがたし」(出典:海道記(1223頃)橋本より池田)
  5. 時が一定の法則によって経過する。時が周期的に到来する。再びその時になる。
    1. [初出の実例]「年月のめぐりくるまのわになりて思へばかかるをりもありけり」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
  6. 時間を経過して再びその状態になる。幾度もこの世に生まれてくる。輪廻する。
    1. [初出の実例]「おとど・宮なども、深き契ある中は、めぐりても、絶えざなれば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
  7. ( 「世にめぐる」の形で ) この世に生きる。俗世に生きている。
    1. [初出の実例]「われかくてうき世の中にめぐるともたれかは知らむ月の都に」(出典:源氏物語(1001‐14頃)手習)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android