囲う(読み)カコウ

デジタル大辞泉 「囲う」の意味・読み・例文・類語

かこ・う〔かこふ〕【囲う】

[動ワ五(ハ四)]
外部からそこなわれないように、まわりを取り巻く。中に取り込めて、外との境を作る。「敷地を塀で―・う」「庭木を―・う」
人目から隠しておく。かくまう。「犯人を―・う」
小銭を―・って」〈真山・男五人〉
人に知られないようにして世話をする。「めかけを―・う」
野菜果物保存処置をして蓄える。貯蔵する。「ネギを―・う」
かばう。たすけ守る。
「姫を―・ひ奥へ入り給ふを」〈伎・壬生大念仏
[可能]かこえる
[類語](1ぐるっとぐるり囲む取り巻く巡らす巡る取り囲む張り巡らす包囲囲繞いじょう遠巻き/(2匿う隠す遮る包み隠す押し隠す覆い隠す覆うくらます潜める忍ばせる隠し立てひた隠し隠蔽隠匿秘匿

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「囲う」の意味・読み・例文・類語

かこ・うかこふ【囲】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙
  2. 中にとりこめて周囲をふさぐ。回りをとりかこむ。とりまく。
    1. [初出の実例]「親属東人を繋(つな)ぎ、閉ぢ居(お)き構樔(カコフ)〈興福寺本訓釈 二合加己不〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
    2. 「草ぼうぼうの空地面、それが端を少し囲(カコ)って」(出典:にごりえ(1895)〈樋口一葉〉四)
  3. 害から守ってやる。たすけまもる。かばう。
    1. [初出の実例]「足弱をかこはせ退き候はんに」(出典:信長公記(1598)一二)
    2. 「目立ぬやうに其衣類をかこうべし」(出典:洒落本・魂胆惣勘定(1754)上)
  4. 他人に知られないように隠しておく。かくまう。
    1. [初出の実例]「内々小銭を貯(カコ)って」(出典:男五人(1908)〈真山青果〉一)
  5. (めかけ)を別宅などに人に知られないように住まわせる。妾を置いて養う。
    1. [初出の実例]「有徳なる人にかこはれながら貧なる男を忍びて」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)一)
  6. 果実、野菜などを覆いをして保存する。貯えておく。貯蔵する。
    1. [初出の実例]「氷ガアルニヨリ、ヨウカコフタモノデ」(出典:交隣須知(18C中か)一)
  7. 捕獲した魚介類を一時的に活簀(いけす)などに飼っておく。
  8. 船が使用されないで年を越す。→囲船(かこいぶね)
  9. 家などを整備したり修理したりする(日葡辞書(1603‐04))。
  10. カルタばくちの一種きんご」で一四点となった時、札を伏せることをいい、転じて、そっと伏せておく、見のがすの意にいう。
    1. [初出の実例]「汗水流して取った物を、又物せうとはそりゃ胴慾、今夜の所は囲うて貰ほ」(出典:浄瑠璃・御所桜堀川夜討(1737)二)

かく・うかくふ【囲】

  1. 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙かこう(囲)〔十巻本和名抄(934頃)〕

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