囲場(読み)いじょう(その他表記)wéi chǎng

改訂新版 世界大百科事典 「囲場」の意味・わかりやすい解説

囲場 (いじょう)
wéi chǎng

中国,清朝が軍事的,経済的な目的をもって東北方面に設けた狩猟場。一般の立入りは禁止されていた。その淵源は,契丹,女真族の遼,金の時代にもとめられる。満州族出身の清朝も北方民族の伝統的な慣習である集団狩猟を一種軍事演習として定期的に実施し,それによって八旗旗人を訓練したが(行囲とよぶ),そのために設けられたのが囲場である。囲場にはこのほか皇帝献上用の獲物をえるためのものもあった。なお木蘭囲場(河北省囲場県,1681設置)では大体毎年秋に皇帝も参加して大規模な行囲が行われた。嘉慶・道光年間(1796-1850)以後,囲場は漢人が東北地方に流入したために衰えた。
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普及版 字通 「囲場」の読み・字形・画数・意味

【囲場】いじよう(ゐぢやう)

狩場。〔宋史、礼志二十四〕太二年、始めて郊に獵す。先づ禁軍を出だして圍場を爲(つく)り、五坊鷙禽(しきん)細犬を以て從ふ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「囲場」の意味・わかりやすい解説

囲場
いじょう
wei-chang; wei-ch`iang

中国,清朝で皇帝や旗人が演武,狩猟を行い,また皇室に獣肉,生じかを供する官設の狩猟場をいう。清朝は満州民族の王朝であり,彼らには北方民族の囲猟 (巻狩り) を部族集落をあげて行う風習が古くからあった。やがて囲猟が清朝の軍隊 (八旗兵) の軍事演習として定着し,そのための囲場が盛京,吉林,木蘭 (河北省) ,黒竜江省のソヨルチ (索約爾斉) に設置された。この囲場は立入り禁止地であったが,満州封禁がゆるむと漸次開墾され,清末には民間に払下げられた。

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