旗人(読み)キジン(その他表記)qi-ren; ch`i-jên

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「旗人」の意味・わかりやすい解説

旗人
きじん
qi-ren; ch`i-jên

中国,清朝の八旗制に属した者をいう。満州人を中心モンゴル人漢人,朝鮮人,ロシア人,トルコ人なども含まれ,行政刑法,軍制などすべての点で一般人と明確に区別されていた。彼らは清朝国家の基礎として経済的には生活の基盤である旗地を支給され,その土地は免税の特権を与えられるなど優遇されていたが,旗人自身の奢侈化,人口増加,さらに商業資本盛行とともに次第に窮乏化して,旗地を手放し,また俸餉 (ほうしょう。給与) を得るための兵士,官員の職も人口のわりには少く,これに対する清朝当局の多くの救済政策も彼らの貧困化を阻止できなかった。このため 18世紀末の白蓮教の乱の頃には軍事力としても無力化していた。さらに漢文化の影響は著しく,満州人独自の風習,文化もこの頃から急速に薄れていった。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「旗人」の解説

旗人(きじん)

清代の八旗に所属する者をいう。満洲族,モンゴル族,漢族などを含むが,満洲族を主とする。一般の民人と身分的に区別され,多くの特権を持ち優遇されたが,清後期には衰退,没落した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「旗人」の解説

旗人
きじん

清代に八旗に属した武人。満州人・モンゴル人・漢人そのほかからなるが,中心は満州人
兵士や官吏としての給料と旗地からの収入があったが,一般の職業につけない・居住地の指定・満漢通婚の禁止などの制限をうけた。

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