国土を総合的・計画的に利用するために必要な原則を定めた法律(1974公布)。国土法と略称することもある。大都市への人口の集中,高速自動車道の建設,新幹線網の拡大など,高度経済成長にともなう急速な開発が環境の悪化と地価の高騰をもたらしたため,開発を規制し,地価を抑制することを目的として本法が制定された。このため,市街化区域で2000m2以上,市街化調整区域で5000m2以上,それ以外の区域で1万m2以上の土地を取引しようとするときには,知事に届け出なければならないこととしている(23条)。また,急激な開発が始まりそうな場所とその周辺を知事が〈規制区域〉に指定したときは,そこでの土地の取引は上記の面積とかかわりなく許可を要するものとし,さらに取引の価格も〈相当〉なものでなければならないとしている(12条)。しかし,まだ指定された場所はなく,本法の実効性に疑問が残されている。
執筆者:篠塚 昭次
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総合的かつ計画的な国土の利用を図ることを目的とする土地利用計画・規制法。昭和49年法律第92号。昭和40年代の異常な土地取引ブームと乱開発を背景として制定された。その基本理念は、国土が現在および将来における国民のための限られた資源であるとともに、生活および生産を通ずる諸活動の共通の基盤であることにかんがみ、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ることにある。国土利用計画として、全国計画、都道府県計画、市町村計画が定められ、都道府県は土地利用基本計画として都市、農業、森林、自然公園、自然保全の五つの地域を定める。このほか、土地取引に関する許可制や届出制について、また遊休土地活用方法の助言についても規定している。土地取引についての許可制は私的取引への強力な介入であるため用いられたことがないが、届出制は地価バブル対策として地価が著しく適正を欠く場合には契約中止の勧告をするというシステムのもとで活用された。しかし、地価下落時にはかえって市場の実勢にあわない運用がなされた。
[阿部泰隆]
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…また禁止は土地利用計画の形で,公衆が知りうるものになっていなければならない。 日本の土地利用規制は,国土利用計画法を基本法としている(なお,本項目末尾を参照)。これによれば日本の国土は都市地域,農業地域,森林地域,自然公園地域,自然保全地域の5地域に分類され,それぞれの地域について都市計画法と建築基準法,農業振興地域整備法,森林法,自然公園法,自然環境保全法により具体的な土地利用規制の内容が定められている。…
…また,土地利用の高度化は一般に望ましい変化であるが,ビルの高層化に伴う日照・通風の問題,地下街建設に伴う防災上の問題,鉄道・道路などの建設に伴う騒音・振動などの問題,地盤沈下,農地を蚕食して進展する都市化に伴う問題等々も一方で生じている。
[土地利用計画]
日本では,1974年に国土利用計画法が成立し,これに基づき土地利用基本計画が作成され,それに伴って,土地利用の規制に関する措置や土地取引の規制,開発行為の許可制度などの新たな措置が講ぜられることになった。土地利用基本計画では,次の五つの地域に区分することを定めているが,各地域については,国土利用計画法だけでなく,そこにかかわる関連法律により,その利用について細部にわたり規制措置などを行っている。…
…これは需給の地域性,個別性が強く,大量生産・大量販売がなじまないという不動産の商品特性からくるもので,必然的に営業区域が地域的に狭い,小規模業者が圧倒的に多数を占めることになる。第2に,不動産業の企業活動には国土利用計画法,土地税制など,きわめて多くの公的な規制がかけられていることである。とくに日本経済が高度成長期から安定成長期へ転換した1974年以降この様相が強まり,不動産業の活動にはさまざまな制約が課されるようになっている。…
※「国土利用計画法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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