国家安全保障局(読み)コッカアンゼンホショウキョク(英語表記)National Security Agency; NSA

デジタル大辞泉 「国家安全保障局」の意味・読み・例文・類語

こっかあんぜんほしょう‐きょく〔コクカアンゼンホシヤウ‐〕【国家安全保障局】

エヌ‐エス‐エー(NSA)
国家安全保障会議の事務を担い、国の安全保障に関する外交・防衛政策の企画立案・総合調整を行う、内閣官房部局NSS

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共同通信ニュース用語解説 「国家安全保障局」の解説

国家安全保障局(NSS)

政府が外交・安全保障政策の司令塔として、米国をモデルに設置した国家安全保障会議(NSC)の事務局。首相や官房長官らをメンバーとするNSCが2013年に発足したのに伴い、14年に設置された。局長は外務事務次官などを歴任した秋葉剛男氏が務めている。米国や中国など各国の政権幹部と協議を重ね、外交・安保分野での調整に当たっている。経済成長に安全保障の視点を取り込む「経済安全保障」の課題にも対処している。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国家安全保障局」の意味・わかりやすい解説

国家安全保障局[アメリカ合衆国]
こっかあんぜんほしょうきょく[アメリカがっしゅうこく]
National Security Agency; NSA

国防省に属するアメリカ合衆国情報機関。略称 NSA暗号や通信による諜報および安全保障を担当する。本部所在地はメリーランド州フォートミード。第2次世界大戦中に行なわれた通信諜報活動から生まれ,1952年にハリー・S.トルーマンがくだした大統領令により設置された。議会が創設した組織ではないため,その活動は議会審査の対象とならないことが多い。任務は,アメリカ軍や政府機関のためにコード暗号やサイファー暗号などの暗号法を保護し,新たに考案すること,また世界中で送受信される,電子的方法をはじめとした種々の暗号情報を傍受,分析,解読することである。1978年成立した外国情報監視法 FISAは,NSAの権限に制限を設け,アメリカ市民を対象とした活動を禁止した。2008年同法の改正により,NSAは国内通信を,その通信の相手がアメリカ国外にいると信じる正当な理由がある場合は,令状なしに傍受できる権限を与えられた。職員数や予算の点で中央情報局 CIAをはるかにしのぐとみられる。また信号情報収集 SIGINTの量も世界最大である。2013年に元 NSA職員で技術者エドワード・スノーデンが,監視プログラム「PRISM」によるアメリカの複数インターネット・サービス・プロバイダーからの情報取得と,携帯電話通信からのメタデータの収集という,偵察活動に関する機密情報を暴露し,NSAの活動に注目が集まった。

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百科事典マイペディア 「国家安全保障局」の意味・わかりやすい解説

国家安全保障局【こっかあんぜんほしょうきょく】

国家安全保障会議の事務局として2014年1月,内閣官房に設置された。第二次安倍晋三内閣は,2013年12月に成立した〈国家安全保障会議設置法〉(〈安保会議設置改正法〉の表題を改めた)に基づき,従来の安全保障会議を再編して新たに国家安全保障会議(NSC)を内閣に設置した。安倍内閣はこれとセットと位置づける,〈特定秘密保護法〉を国会で採決・可決した。国家安全保障局は,国家安全保障会議を恒常的にサポートする組織で,内閣官房の総合調整権限を用い,国家安全保障に関する外交・防衛政策の基本方針・重要事項に関する企画立案・総合調整に専従する。緊急事態への対処に当たり,国家安全保障に関する外交・防衛政策の観点から必要な提言を実施(事態対処のオペレーションは,危機管理の専門家である内閣危機管理監等が引き続き担当),関係行政機関等に対し,適時に情報を発信する。また会議に提供された情報を政策立案等のために活用する権限と機能を持ち,内閣で安全保障に関するセンター的な役割を担うことになる。初代局長には,安倍首相の外交ブレーンで外務省出身の谷内正太郎。安倍政権による集団的自衛権の行使を認める閣議決定で,議論の推進役を果たしたのは国家安全保障局とされている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「国家安全保障局」の意味・わかりやすい解説

国家安全保障局
こっかあんぜんほしょうきょく

外交・安全保障政策を担当する国家安全保障会議の事務局。2014年(平成26)1月、内閣官房に創設された。発足時の人員は67名で、外務省、防衛省、警察庁などから集められた。テーマ別に6班体制を敷き、「総括・調整班」が総合調整役を担い、「戦略企画班」が中長期的な安全保障政策、「情報班」が国内情報機関との連絡調整を担当する。地域別にはアメリカやヨーロッパなどを「政策第1班」が担当し、中国や北朝鮮を「政策第2班」、中東やアフリカを「政策第3班」が担当する。緊急事態が発生した際には、国家安全保障に関する外交・防衛政策の観点から必要に応じて提言する。

[編集部]

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世界大百科事典(旧版)内の国家安全保障局の言及

【情報機関】より

…対外活動の中枢はCIAで,情報部はおもに新聞雑誌など公刊された資料の分析を,科学技術部は外国の科学技術情報の収集・分析と情報収集技術の開発を,作戦部はスパイの運用,謀略活動などを担当する。軍事情報活動の中枢は国家安全保障局(NSA)で,偵察衛星の運用,無線の傍受と暗号解読などを担当する。また,軍事情報活動部門では,陸・海・空軍がそれぞれの情報部を持って情報の収集・分析に当たっている。…

※「国家安全保障局」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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