国府川(読み)こうのかわ

日本歴史地名大系 「国府川」の解説

国府川
こうのかわ

源を小佐渡山地国見くにみ山に発する。「こくぶがわ」ともよぶ。川の名は最上流瓜生屋うりうや(新穂川とも)とよばれ、天神股てじまた黒滝くろたきうすたきの渓流を合せて北西流する。新穂にいぼ村上新穂桶後川おけごがわ橋から国仲くになか平野を西流して真野まの湾に注ぐ間を国府川と名称する。延長は一九キロ余。海に至るまでの間、支川の行谷ぎようや川・長谷はせ川・木曾きそ川・小倉おぐら川・竹田たけだ川・新保しんぼ川・中津なかつ川・地持院じじいん川・藤津とうつ川などを集める。川の名称はこの川の沿岸に国府が置かれたことによると考えられている。沿岸(とりわけ左岸)に条里的地割が存在することからみて、奈良朝期に条里による開田が行われたのであろう。「続日本紀」天平一三年(七四一)八月一五日条にみえる佐渡洪水は、この期の開発と関係するものであろう。中世末、文禄二―三年(一五九三―九四)にも洪水が連続して国府川沿岸にあった淵が廻ぶちがまわり村などは移転を余儀なくされているが、それはこの時期における国仲平野山麓部の開発とかかわっているのであろう。今日では国府川は治水の対象であるが、古代・中世では交通運輸手段として重きをなした。国府川の旧流路末端真野四日よつか町の長石ながいし地区にはいまも旧流路が低地として残るが、その辺りには祇園社があり、市場いちば地名があって、古く市場の置かれたことがわかる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国府川」の意味・わかりやすい解説

国府川
こくふがわ

新潟県佐渡島(さどがしま)(佐渡市)の国中平野(くになかへいや)を流れる川。その源を小佐渡山地の大地(おおじ)山に発し、真野(まの)湾に注ぐ。延長19キロメートル。支流は、大佐渡、小佐渡両山地から樹枝状に流れ出す大野川、小倉(おぐら)川、新穂(にいぼ)川(小佐渡側)、藤津(とうつ)川、中津川、新保(しんぼ)川(大佐渡側)などがあり、古国中湖を埋積したので、下流は低湿三角州で排水に悩まされている。沿岸は佐渡米の米どころで、島の主要産物をなす。中流には弥生(やよい)住居遺跡として有名な千種遺跡(ちぐさいせき)もある。

[山崎久雄]

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