新潟県佐渡島の大佐渡山地と小佐渡丘陵(山地)との間にある平野。南西流する国府川流域の国中低地,加茂湖周辺の加茂湖低地,両低地周辺の国中台地からなり,北東は両津湾,南西は真野湾に面する。台地の末端には縄文遺跡が古国中湖を囲むように分布し,国府川中流には弥生時代の千種(ちぐさ)遺跡がある。平野には主として南西部に条里地割りがみられ,推定面積は約1360haとされている。平野は古くから水田開発が進み,佐渡の穀倉地帯を形成しており,産米は島外へも移出される。国府川をはじめ諸渓流は,灌漑面積に比べて流域面積が狭いため第2次大戦前までは小溜池が形成されて古い水利慣行が続いてきた。戦後は,小倉川,竹田川,新穂(にいぼ)川,大野川などにダムが建設されて平野の灌漑水利は著しく改善された。
平野には佐渡島の人口の約7割が集中し,行政的には,両津市,佐渡郡の金井,畑野,真野,佐和田の各町と新穂(にいぼ)村に分かれ(2004年,合体して佐渡市),集落の多くは台地面に位置している。また大佐渡山地側の国道350号線,小佐渡丘陵側の県道である南線の幹線道路や,国分寺跡,妙宣寺,真野御陵,黒木御所跡,壇風城跡,順徳天皇皇子・皇女墓などの史跡も台地面に位置する。両津港は水産物の漁獲基地であるとともに,新潟市とは高速水中翼船(ジェットフォイル)で結ばれる島の観光基地でもある。南西の真野湾岸に発達する八幡・四日町砂丘は島内最大の畑作地域で,野菜,葉タバコを産する。
執筆者:磯部 利貞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
新潟県佐渡島(さどがしま)(佐渡市)の大佐渡山地と小佐渡山地の間にある地溝帯平野。幅8キロメートル、長さ12キロメートル、面積150平方キロメートル。両津(りょうつ)湾岸にある加茂(かも)湖岸の洪積台地を頂点として、南西に緩く傾斜し、中央を国府川が埋め立てして佐渡の米どころをなす。集落は両山地麓の洪積台地面に並び、主要交通路は大佐渡回りと小佐渡回りの2幹線が循環する。順徳(じゅんとく)上皇を祀(まつ)る真野(まの)宮や日蓮(にちれん)遺跡の根本(こんぽん)寺などの古い流人文化遺跡は小佐渡回り沿線にある。北東の旧両津市域、南東の旧佐和田町域が中心をなす。
[山崎久雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…国定公園は越後三山只見と佐渡弥彦米山の二つ,海中公園は佐渡島の海府,相川,小木の三つがあり,また13の県立自然公園もある。
[日本一の米作地帯]
県内には越後,高田,柏崎の3平野と佐渡島に国中平野があり,穀倉地帯をなしている。耕地の75%が標高50m以下に立地し,水田に好都合な自然条件を備えている。…
※「国中平野」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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