日本大百科全書(ニッポニカ) 「新穂」の意味・わかりやすい解説
新穂
にいぼ
新潟県佐渡郡(さどぐん)にあった旧村名(新穂村(むら))。現在は佐渡市の東部を占める一地区。2004年(平成16)、両津(りょうつ)市および佐渡郡の相川(あいかわ)町、佐和田(さわた)町、金井(かない)町、畑野(はたの)町、真野(まの)町、小木(おぎ)町、羽茂(はもち)町、赤泊(あかどまり)村と合併して佐渡市となる。旧新穂村は佐渡島の小佐渡山地北東に位置する。国際保護鳥トキの村として知られ、佐渡トキ保護センター(旧名はトキ保護センター)で国産トキ最後の1羽が長らく飼育されていたが、2003年(平成15)10月に老衰のため死亡した。同センターでは人工繁殖も試みられており、1999年には中国産トキのつがいによるヒナが誕生、国内初の成功例となった。北方(きたがた)には中世村殿(むらどの)とよばれた名主屋敷が集まった模式的な環濠集落(かんごうしゅうらく)が残る。新穂川の上流には新穂、大野川の二大ダムが建設され、扇状面の耕地整理化を進め、島の米どころをなす。稲作のほか、近年ではイチゴなどの施設園芸も行われている。中心地区新穂は小佐渡回りバス交通の要衝で、近くの塚原根本寺(つかはらこんぽんじ)は日蓮(にちれん)遺跡として名高い。山麓(さんろく)台地面には縄文遺跡が多く、北方、舟下(ふなしも)の玉作(たまつくり)遺跡は県の史跡地に指定されている。西端の潟上(かたがみ)は古くからの湯治場温泉である。
[山崎久雄]
『『新穂村史』(1976・新穂村)』