国役普請(読み)クニヤクブシン

百科事典マイペディアの解説

国役普請【くにやくぶしん】

〈こくやくぶしん〉ともいう。江戸時代,幕府主導の下に農民から一定の基準で人足などを動員して行われた大規模な河川工事。おもに幕府領・私領の入り組んだ地域を流れる河川で実施された。この形態は豊臣秀吉が尾張国で〈惣国罷出〉で行った築堤工事が古い例。江戸時代前期には国役人足の動員の責任が各所領の大名・旗本らにゆだねられ,私領主に持場を分担して割り当てる方式がとられたようだ。1720年幕府は国役普請令を発布。関東,東海,越後,美濃,畿内の河川の治水工事について,一国を領有する大名や20万石以上の大名は自普請,それ以下の大名・旗本・寺社の所領および幕府領内の普請は,幕府が10分の1を負担,残りは国役金として幕府領・私領一円の農民から高割りして平均に徴収することとした。この制度はその後停止された時期もあるが,江戸時代を通じて存続し,1875年の太政官布告で廃止された。
→関連項目高田藩

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世界大百科事典 第2版の解説

くにやくぶしん【国役普請】

江戸時代の治水制度の一つで,大規模河川の普請に際して当該河川を含む諸国を対象にして,その幕領・私領一円の農民から平均に国役を徴集し,幕府の主導の下にこれを遂行する形態のものをいう。
[前期]
 国役的な方式による河川普請は,1594年(文禄3)に豊臣秀吉の下で〈惣国罷出〉でなされた尾張国の築堤工事が古いものとして挙げられる。江戸時代初期には三河,美濃,尾張,畿内,備中などの諸国で同種の形態の普請の行われていたことが史料に散見する。

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大辞林 第三版の解説

くにやくぶしん【国役普請】

江戸幕府が行なった河川・道路の修築など大規模な土木工事。その費用は関係地域の公私領から同一基準で徴収し、幕府は10分の1を負担した。

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世界大百科事典内の国役普請の言及

【国役】より


[農民の国役]
 幕府による大規模普請や御用人馬の通行に際して関係諸国の幕領,私領一円の農民に国役が課された。
[治水国役]
 国役を動員して行われる河川普請は国役普請と呼ばれる。近世前期の国役普請においては,普請人足が農民から国役として徴集された。…

【御普請】より

…例えば1780年(安永9)に行われた品川用水の悪水吐伏樋の伏替御普請では,材木・釘代・マキ皮代や大工・木挽・鳶人足の賃金は幕府が支出し,人足と空俵,それに江戸より御普請場までの材木・鉄物の運賃は組合諸村に課せられている。なお公儀の御普請においては,幕領・私領の別なく国役を徴して行う国役普請や,大名に費用を負担させて行う御手伝普請も実施された。藩の場合も幕府と同じく藩が主導する工事と,村落レベルで行う工事とがあり,例えば鳥取藩では前者を郡(こおり)普請,後者を村普請といった。…

【普請役】より

…大名は幕府から,給人はそれぞれの主君から領知・知行を給与されていること,百姓は土地を所持し,耕作する権利を認められていることによる負担義務の一つ。近世初頭,統一政権が施行した大規模な土木工事において,普請役は石高基準の国役(くにやく)として統一的に賦課されたが(国役普請),幕藩制が確立すると,大名に対する普請役は公儀の御普請御手伝(ごふしんおてつだい)として個別的に賦課されるようになった。御手伝普請の内容も,当初は人足の提供を主とするものであったが,現夫(げんぷ)の徴発が困難となった中期以降しだいに変容し,やがて金納化した。…

【美濃国】より

…ともかく水害多発地帯である当国では,17世紀中ごろまでに岡田善同(よしあつ)・善政父子によるとされる〈将監定法〉ないし〈美濃国法〉と呼ばれる当国独自の普請制度が成立した。これによるような国役普請(くにやくぶしん)は,享保~宝暦期(1716‐64)に中断されるものの近世を通じて50件にせまり,18世紀中ごろ以降にはじまる遠隔地大名に課せられた御手伝(おてつだい)普請は十数件,そのほか幕府の手による御救普請,大名手限普請,それに地元農民の手による自普請など大小さまざまな治水工事が行われた。1703年(元禄16)に続く05年(宝永2)の三川をはじめとする美濃諸河川の河道整理(大取払)の国役普請,54年(宝暦4)にはじまる油島締切と大榑川洗堰(あらいぜき)築堤による三川分流の薩摩藩御手伝普請――40万両の出費と藩士その他の犠牲者80余名(宝暦治水事件)――などは,大規模な工事の一つとして有名だが,これらの工事を余儀なくさせた水害多発の原因に,河床の上昇や遊水池の減少,排水の困難さなどがあり,それがおもに新田開発の進行によるものであったということが注目される。…

※「国役普請」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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