国際金融協力(読み)こくさいきんゆうきょうりょく

改訂新版 世界大百科事典 「国際金融協力」の意味・わかりやすい解説

国際金融協力 (こくさいきんゆうきょうりょく)

1930年代の世界恐慌の際に各国が採った近隣窮乏化政策(具体的には為替相場切下げ競争,為替管理の強化,保護主義の高まりと輸入制限競争)による破滅的体験にかんがみ,第2次大戦後は,ブレトン・ウッズ体制といわれるIMF国際通貨基金)を中心とする国際為替金融に関する取決めが結ばれた。為替相場の安定を目標に,貿易・為替の自由化を促進し,世界貿易ひいては世界経済の発展を目途とする国際的な協力体制ができあがり,めざましい成功をおさめた。

 ところが59年に西ヨーロッパ諸国が通貨の交換性を回復して以降,西ヨーロッパ諸国や日本の経済力の急速な高まりとは裏腹に,ブレトン・ウッズ体制の扇の要であるアメリカの経済力はベトナム戦争等による巨額な財政赤字で急低下し,ついに71年8月,アメリカはドルの金交換停止と10%の輸入課徴金制度の導入を発表した。その後同年12月のスミソニアン合意を経て,73年2月ドル再切下げを契機として,変動相場制の時代に突入した。変動相場制のもとでは国際収支均衡は為替相場の変更により自動的に達成されるので,各国は自国の経済目標を達成するため対外的考慮なく自由な財政金融政策を採りうるという考え方がアメリカ政府や有力な学者により主張されたが,その後の経過をみると,国際収支の不均衡は縮小するどころかかえって増大している。国際金融協力とは,このような環境のもとに,国際収支調整が現実に実現するまでのつなぎ資金を供給するとともに,急速に増大した国際資金の攪乱的移動に対処する国家間の協力をいう。その中心機構は西側諸国と一部の共産国を加盟国とするIMFであるが,近年は主要国および発展途上国を代表する二十数人の大蔵大臣または中央銀行総裁で構成する暫定委員会が事実上重要事項を決定している。さらに先進国は,十ヵ国蔵相会議G-10)として大臣レベルおよび代理レベルの会議をもち,先進国の共同歩調について随時協議をしている。IMF以外の国際協調の場としては,先進国首脳会議(サミット),五ヵ国蔵相会議(G-5),OECD経済政策委員会および同第三作業部会がある。さらに中央銀行間ではBIS国際決済銀行)を中心とする国際協力,中央銀行間のスワップ網(スワップ協定)のほか,地域的にはEMS(ヨーロッパ通貨制度)等がある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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