国風(読み)コクフウ

デジタル大辞泉 「国風」の意味・読み・例文・類語

こく‐ふう【国風】

その国や地方独特の風俗習慣。くにぶり。
詩経の部立ての一。民謡部分総称
その国の風俗をうたった詩歌俗謡
和歌。くにぶり。
[類語]国ぶり

くに‐ぶり【国風/国振り】

その国や地方の風俗・習慣。御国振おくにぶり。くにがら。
各地方の風俗歌ふぞくうた。民謡や俗謡。
漢詩に対し)和歌。こくふう。
[類語]国風

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精選版 日本国語大辞典 「国風」の意味・読み・例文・類語

こく‐ふう【国風】

  1. 〘 名詞 〙
  2. その国特有の風俗、習慣。また、その地方のならわし。くにぶり。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「我娘に不義あれば相手を糺し同罪に行ふ越後の国風(コクフウ)」(出典浄瑠璃信州川中島合戦(1721)一)
    2. [その他の文献]〔史記‐殷本紀〕
  3. 中国最古の詩集の「詩経」のうち、民謡の部分の総称。殷から春秋時代までの各地の民謡一三五編がおさめられている。また、その詩風。
    1. [初出の実例]「挙手斟王沢、形言見国風」(出典:菅家文草(900頃)一・仲春釈奠、聴講毛詩、同賦発言為詩)
  4. ( にもとづき ) ある地方の風俗、習慣を表わすような詩歌や民謡。くにぶり。転じて、俗謡、はやり歌、また、後に転じて卑俗な歌などをもいう。
    1. [初出の実例]「樽五斉独盈、楽万国風陳」(出典:懐風藻(751)春日侍宴〈安倍広庭〉)
    2. [その他の文献]〔鄭谷‐読故許昌薛尚書詩集詩〕
  5. ( から転じて ) 和歌。くにぶり。
    1. [初出の実例]「遁塵高士饒陳迹、詠勝名篇足国風」(出典:六如庵詩鈔‐二編(1797)二・嵳峩別業四時雑興)

くに‐ぶり【国風】

  1. 〘 名詞 〙
  2. その国の風俗、習慣。その地方の気風
    1. [初出の実例]「跡さきと同じ宿りに行きあひて語るに社(こそ)は国ぶりも聞け」(出典:言継集(1574頃))
  3. 風俗歌。民謡。
    1. [初出の実例]「次悠紀国同率歌人同門位奏国風」(出典:貞観儀式(872)三)
  4. ( 漢詩に対して ) 和歌。やまとうた。
    1. [初出の実例]「国風も三十一文字に必ずと定りての後は」(出典:随筆・胆大小心録(1808)一四五)

くに‐ふう【国風】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) その国の風習。また、地方人らしいさま。田舎風
    1. [初出の実例]「わしらが様な、国ふうな人とは違ふであらうのヲ」(出典:洒落本・南閨雑話(1773)閨の体)

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普及版 字通 「国風」の読み・字形・画数・意味

【国風】こくふう

各国の民謡。〔詩〕に十五国風がある。また、国の風俗。〔史記、殷紀〕武丁、位にき、殷を復興せんことを思ふも、未だ其の佐を得ず。~事は冢宰(ちようさい)に決定す。以て國風をる。

字通「国」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の国風の言及

【雅楽】より


[令制と雅楽寮]
 《日本書紀》持統1年(687)1月1日条に〈楽官奏楽〉と書かれており,役職としての楽人の存在が示唆されているが,その制度の詳細を知りうるのは701年(大宝1)の大宝令(散佚)と養老令とによってである。今,後者の職員令(しきいんりよう)をみると,雅楽寮は治部省に属する大寮,国風歌舞(くにぶりかぶ)ならびに外来楽舞の教習施設で,管理職から雑役まで総勢四百数十名という大規模なものであるが,実際に規定どおりの人員があてられたかは疑問である。うち,国風歌舞(計262名)については歌,儛,笛の師と生とを記すのみで個々の種目名を明記しないが,外来系のもの(計147名)には,唐楽,高麗楽,百済楽,新羅楽,伎楽の名がみえる。…

【詩経】より

…諸国の民謡を集めた〈風〉,宮廷の音楽〈雅〉,宗廟の祭祀の楽歌〈頌〉の三部分から成る。〈風〉は,〈国風〉とも呼ばれ,周南・召南・邶(はい)・鄘(よう)・衛・王・鄭・斉・魏・唐・秦・陳・檜・曹・豳(ひん)の15国160編,〈雅〉は,小雅74編・大雅31編,〈頌〉は,周頌31編・魯頌4編・商頌5編を収める。風は,結婚,恋愛,狩猟,建築,労働,出征,農事など当時の人民の生活の各方面を題材に,愛の喜び,死者への哀悼,肉親への思い,搾取者への憎悪,時間の推移への恐れ,時代の悪さへの悲嘆など,さまざまの感情を率直にうたう。…

【中国文学】より

…《詩経》は前6世紀ごろにほぼ結集を終えた歌謡集であり,その歌謡の古いものは,やはり周初前11世紀にさかのぼる。周王朝などの祖先を祭る舞の歌〈頌(しよう)〉,宮廷の宴会の歌〈小雅〉と〈大雅〉,地方の民謡〈国風〉の3部に分かれ,305篇を収める。内容は民族の祖先の苦難を述べ,その功績をたたえる叙事詩風のもの,結婚,誕生,新居を祝うものなど,さまざまであるが,国風の部には恋愛の歌がとりわけ多い。…

※「国風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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