1989年(平成1)に成立した土地についての基本理念を定めた法律。これは臨時行政改革推進審議会(行革審)内の土地対策検討委員会(土地臨調)の答申を受けて成文化したもので、宣言法的性格を有するものである。
土地基本法は「国、地方公共団体、事業者及び国民の」「土地についての基本理念に係る責務を明らかにするとともに、土地に関する施策の基本となる事項を定めることにより、適正な土地利用の確保」「適正な地価の形成を図るための土地対策を総合的に推進し」「国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与する」ために制定されたものである。基本理念として、「土地については、公共の福祉を優先させるものとする」と規定し、土地の取得、利用、処分等については、公共の福祉のため、土地の特性に応じた制限や負担が課されるべきことを示している。このことは、土地利用が公共の福祉の観点から決められ、そのもとで土地から得られる利益を国民が適正に享受しうるように配分することを意味する。そのため、「国及び地方公共団体は、適正かつ合理的な土地利用を図るため」、自然的、社会的、経済的、文化的条件を勘案し、必要な土地利用計画を策定し、必要に応じて広域的視点から、調整を図るべきだとしている。つまり、公共の福祉という観点は、土地の所有よりも利用が優先されるということを意味するものである。
また、土地の投機的取引を抑制し、土地の価値が増加する場合には、「価値の増加に伴う利益に応じて適切な負担」が課されるべきこと、また国および地方公共団体は、「土地に関する施策を総合的に策定し、実施する責務を有」し、「土地についての基本理念に関する国民の理解を深めるよう」に努め、事業者および国民は「国及び地方公共団体が実施する土地に関する施策に協力するように努めなければならない」と規定している。
[伊藤善市]
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…したがって今後の土地政策に望まれるのは,長期的見通しに基づいて設定された政策目標を実現するために,いくつかの手段を有機的に結びつけていく,総合的な判断である。住宅問題都市問題土地税制【華山 謙】
[土地基本法]
1980年代後半の異常な地価高騰に対処するために,従来の土地政策体系を総括し,かつ今後の土地政策の基本理念を表明した1989年制定の法律。土地利用に関する公共の福祉の優先,計画に従った適正な利用,投機的土地取引の抑制,地価の上昇に応じた受益者負担などの原則の確立により,土地需給の緩和を企図したもの。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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