地史学(読み)チシガク(その他表記)historical geology

精選版 日本国語大辞典 「地史学」の意味・読み・例文・類語

ちし‐がく【地史学】

  1. 〘 名詞 〙 地質学の一分野。地殻発達の歴史とそこに現われる法則を研究する学問。地質や岩石の発展・生成などを対象とする。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地史学」の意味・わかりやすい解説

地史学
ちしがく
historical geology

地球および地球上の生命が、その起源から現在までにたどった歴史(地史)を研究する学問分野。地史学では、何がどこでいつおこったのかが強調され、それがどのようにどうしておこったのかが追求される。そしてしばしば、地球上のある地域、ある地質時代、あるいは構造地質学的見地とか、古生物学的見地といった、地質学のある分野が強調されてきた。

 堆積(たいせき)岩や、新旧の岩石中に貫入した火成岩体や、地表まで噴出した火山岩のなかには、過去の侵食運搬堆積作用、火成作用、変成作用、変形運動の跡や、一方には生命の活動の跡が残っているので、岩石や化石を調べることによって、それらより、地殻の運動、地表環境の変遷、生物の発展などの、地質時代におこったさまざまなできごとを読み取ることができる。そしてそれには、過去のできごとの性質を、現在作用していて観察することができる過程と比べて、その類似から類推する、という研究方法がとられる。この方法は現在主義とか方法論的斉一説(せいいつせつ)とよばれ、自然法則は空間的にも時間的にも不変であるという仮定と、かつ現在観察できる事柄で過去のできごとが説明できる限り、説明を複雑にするような理論は主張しないことが、必要条件になっている。方法論的斉一説は、イギリスの地質学者ライエルのころには、当時に存在した自然の超自然的解釈と闘うために必要であったが、これを克服した現在では、経験的科学の一般的な研究法以上のものではなく、地質学が特別にもっている指導原理ではない。

 地質学的なできごとを時間の順序に編成するために必要な、岩石の時間的な前後関係の情報を地史学に提供するのは層位学であり、その最近の進歩は、地史の理解を著しく進めた。地層の新旧の決定や、かけ離れた地域の間の地層の対比は、かつては主として標準化石に頼って行われた。この生層位学的方法は、浮遊性微生物を使うようになってきわめて洗練されるとともに、他方、放射性同位体による年代測定や、地磁気の逆転も利用されるようになって、現在では、地史はその時間的精度を増すとともに地球や生命の起源にまでさかのぼった。そしてまた、できごとの時間的規模や速度についても、以前に比べてはるかに正確な把握がなされるようになった。一方、岩石学的および地球物理学的方法の発達は、実際に観察可能な地表と、それから直接推定が可能な地殻上層部に限られていた地史の推定空間を、マントル上部にまで拡大した。

 このようにして現在では、移動する磁極、拡大したり消滅したりする海洋底、移動する大陸といった、きわめて不安定な海洋や大陸の世界観のうえに、地史が編まれるようになった。

[花井哲郎]

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最新 地学事典 「地史学」の解説

ちしがく
地史学

historical geology

地球の歴史を研究対象とする地質学の一分野。狭義には,岩石・地層についてのあらゆる地質学的事実を総合し,地球の表面付近における過去の歴史を考究すること。この場合,層序学的編年が基本となるので,地史学と層序学はしばしば同義に用いられるが,前者は地層の形成作用や順序のみならず,火成作用・変成作用を含めた構造発達史をも対象とする,より広い領域(概念)である。地史学は,かつては化石を多産するカンブリア紀以降の歴史を主な対象(内容)としたが,先カンブリア時代の岩石・地層に関する研究や,放射年代測定法の進歩に伴い,その対象と内容は著しく拡大され豊富になってきた。さらに,地球構成物質やその挙動に関する物理学的・化学的諸研究(理論的・実験的研究)に基づいて,地球の発生過程にまでさかのぼって考究し,地表付近における諸事象を地球内部における変化と結びつけて論及する,広義の地史学=地球史学に発展している。

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百科事典マイペディア 「地史学」の意味・わかりやすい解説

地史学【ちしがく】

地質学の一分野で地球の歴史(地史)を研究する学問。地質時代が主要な対象になり,研究の手がかりとして鉱物,岩石,化石,層序,地質構造などが利用される。古地理学,堆積学,古生物学,古気候学などとも関連が深い。

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