基礎生物学研究所(読み)キソセイブツガクケンキュウジョ

デジタル大辞泉 「基礎生物学研究所」の意味・読み・例文・類語

きそせいぶつがく‐けんきゅうじょ〔‐ケンキウジヨ〕【基礎生物学研究所】

自然科学研究機構を構成する大学共同利用機関の一つ。分子細胞レベルでの生物現象の解明を目指し、細胞生物学発生生物学・神経生物学・進化多様性生物学・環境生物学・理論生物学・イメージングサイエンスの7領域で研究活動を行う。また、大学院教育も行っている。所在地は愛知県岡崎市。昭和52年(1977)創設。基生研NIBB(National Institute for Basic Biology)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「基礎生物学研究所」の意味・わかりやすい解説

基礎生物学研究所
きそせいぶつがくけんきゅうじょ

国立大学法人法に基づいて設置された、大学共同利用機関法人自然科学研究機構傘下の国立の研究所。英語名はNational Institute for Basic Biology。略称は基生研、NIBB。日本学術会議の勧告に基づき、生物の基本的な細胞の働きなどを探るため1977年(昭和52)5月に創設された。所在地は愛知県岡崎市。

 地球上に生命が誕生してから長い歳月を経て、生物は単細胞生物から植物や動物に分化し、それぞれがおびただしく多様に進化してきた。その進化の過程にあっても、基本的に変化がないままに経過してきた普遍的な仕組みと、その逆に多様な変化を可能にした基本的な仕組みなどについて研究している。生物現象の本質を分子細胞レベルで解明することを目ざしているもので、細胞生物学、発生生物学、神経生物学、進化多様性生物学、環境生物学、理論生物学、イメージングサイエンスの七つの研究領域にわたる幅広い研究活動を行っている。

 文部科学省主導の国家プロジェクトである「ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)」でメダカの遺伝資源蓄積を担当する。このプロジェクトは、各研究機関に散在する貴重な生物遺伝資源を収集、保存、提供するもので、基礎生物学研究所は、さまざまな系統や突然変異体のメダカを全国の大学・研究機関に提供している。

 学問進展とともに新学術領域研究へと研究活動を広げ、「哺乳(ほにゅう)類初期発生の細胞コミュニティー」「神経細胞の多様性と大脳新皮質の構築」「複合適応形質進化の遺伝子基盤解明」「動物における配偶子産生システムの制御」などのテーマにも取り組んでいる。2016年(平成28)10月、基礎生物学研究所で13年間研究した大隅良典(おおすみよしのり)に「オートファジーの仕組みを解明した功績」でノーベル医学生理学賞が贈られた。研究所では3年に一度、研究施設の一般公開を行っている。

[馬場錬成・玉村 治 2018年7月20日]

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百科事典マイペディア 「基礎生物学研究所」の意味・わかりやすい解説

基礎生物学研究所【きそせいぶつがくけんきゅうじょ】

大学共同利用機関法人自然科学研究機構に所属する五つある研究機関の一つ。生命現象の究明を目的として,動物・植物をはじめとする生物の基本単位である細胞の構造と機能のほか,増殖と分化,形態の形成,生体の反応や制御などについての生命現象を総合的に研究している。細胞増殖や発生遺伝学,ゲノム動態など13の研究部門,培養育成など三つの研究施設,情報生物学研究センターなどで構成される。文部科学省が所管していた岡崎国立共同研究機構に所属する大学共同利用機関の一つだったが,2004年4月の大学共同利用機関の法人化に伴って発足した自然科学研究機構所属の研究機関となった。設置は1977年。生理学研究所とともに生物科学総合研究機構の研究機関として設立された。所在地は愛知県岡崎市。
→関連項目総合研究大学院大学

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