自然科学研究機構(読み)しぜんかがくけんきゅうきこう

百科事典マイペディアの解説

自然科学研究機構【しぜんかがくけんきゅうきこう】

大学における学術研究の発展などに資するために設置された大学共同利用機関が2004年4月に法人化されたのに伴って,新たに発足した四つの大学共同利用機関法人の一つ。それまで文部科学省が所管していた国立天文台核融合科学研究所基礎生物学研究所生理学研究所分子科学研究所の五つの研究機関が所属している。これらの研究機関が互いに連携して,天文学,物質科学,エネルギー科学,生命科学といった自然科学全般にわたって研究活動を推進するのが目的。総合研究大学院大学を構成する機関の一つとして,大学院生に対する教育機関としての役割も担っている。初代機構長,志村令郎。本部事務局の所在地は東京都港区。

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デジタル大辞泉の解説

しぜんかがくけんきゅう‐きこう〔シゼンクワガクケンキウ‐〕【自然科学研究機構】

宇宙・物質・エネルギー・生命など自然科学の広範な領域を対象とする、大学共同利用機関法人国立天文台核融合科学研究所基礎生物学研究所生理学研究所分子科学研究所の5つの大学共同利用機関によって構成される。NINS(National Institutes of Natural Sciences)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

自然科学研究機構
しぜんかがくけんきゅうきこう

国立大学法人法に基づき2004年(平成16)に発足した大学共同利用機関法人の一つ。英語名はNational Institutes of Natural Sciences(略称NINS)。大学共同利用機関だった国立天文台(東京都三鷹(みたか)市)、核融合科学研究所(岐阜県土岐(とき)市)、基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)、生理学研究所(愛知県岡崎市)、分子科学研究所(愛知県岡崎市)の五つの研究所を傘下に置き、天文学、材料科学、エネルギー科学、生命科学など幅広い分野の研究者の連携、国際共同研究を推進している。本部は東京都港区虎ノ門に所在。
 大学共同利用機関法人は、個別の大学では、維持がむずかしい大規模実験施設や装置を保有し、大学の垣根を超えて利用できた従来の大学共同利用機関(15機関18研究所)が、国立大学の法人化に伴って再編された組織である。事務部門を効率化したり、新たな分野の共同研究を進めたりしながら世界最高水準の研究拠点を目ざしている。
 その一環として、NINSでは、2009年に「新分野創成センター」が創設され、ブレインサイエンス(脳科学)など既存の学問的枠組み分野を超えた研究も始まった。2015年には天文学と生命科学の融合を目ざす「アストロバイオロジーセンター」も設立され、宇宙における生命の存在、極限状況下における生命体などの研究を推進している。5研究所のさらなる分野を超えた共同研究、新分野創出を進めるため、「自然科学共同利用・共同研究統括システム(NINS Open Use System:NOUS)」が構築された。機構内の共同研究の成果報告、公表、分析などを統合的に管理するシステムで、2017年度から一部実施が始まった。研究だけでなく、総合研究大学院大学などの大学院生を受け入れる基盤機関であり、200人を超える大学院生や留学生が在籍し、若手の育成にも熱心に取り組む。
 国立天文台は、日本の天文学研究を牽引(けんいん)する中核的な研究機関で、前身組織を含めると140年の歴史を刻む(2018年時点)。野辺山(のべやま)宇宙電波観測所、岡山天体物理観測所のほか、アメリカハワイ州ハワイ島にある世界最大級の一枚鏡望遠鏡「すばる」(口径8.2メートル)、南米チリにはアルマ望遠鏡など国内外に、電波、可視光、紫外線、重力波などの観測施設をもち、謎(なぞ)の多い宇宙の解明に挑んでいる。
 核融合科学研究所は、次世代のエネルギーとして期待される核融合の基礎研究を推進している。原子核と原子核が融合することで巨大なエネルギーが発生する核融合。これを超高温のプラズマ状態下で行う実験施設「大型ヘリカル装置」で実証実験を繰り返している。
 基礎生物学研究所は、多様に進化してきた生物の生命現象について分子レベルでの解明を目ざす。進化多様性生物学、発生生物学、イメージングサイエンスなど七つの研究領域がある。
 生理学研究所は、人体の機能を総合的に解明することを目標とする研究所で、その中心に脳・神経系の解明をすえる。認知、記憶などの脳科学研究で国際的にトップレベルを維持している。
 分子科学研究所は、物質の基本単位である分子がどう姿を変えて化学反応していくのか、その際の分子間で働く多種多様な現象や相互作用の本質を見極める研究を行う。原子、分子レベルの解明は新材料、創薬、生命現象など多分野と深くかかわっている。[玉村 治]

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