塩の話(読み)しおのはなし

食の医学館 「塩の話」の解説

しおのはなし【塩の話】

 最近では、とりすぎによる弊害ばかりがとりざたされる塩。たしかに、塩の過剰摂取が高血圧や心臓病腎臓病(じんぞうびょう)などの原因になることは事実ですが、その一方で、塩は体内で、生理的に重要な役割をはたしていることも忘れてはなりません。
 ちなみに、汗をなめるとしょっぱい味がするように、人の体内にはかなりの量の塩分が存在します。その量は、大人の場合で体重の0.3~0.4%。つまり、体重60kgの成人であれば、200g前後の塩分を体内にもっているのです。
 塩の主成分は塩化ナトリウムで、体内に吸収されるとナトリウムイオンと塩素イオンとなって、さまざまな生理的作用を発揮します。
 このうちナトリウムは、血液などに含まれてその濃度を調節し、体内の浸透圧を適正に保ったり、細胞内外の物質交換をスムーズにするのが、いちばん大きな役割。また、神経刺激伝達をになったり、カルシウムなどのミネラルが血液中に溶けだすのを防ぐなどの役割もはたしています。
 一方、塩素胃液の主成分である塩酸の材料となったり、膵液(すいえき)分泌(ぶんぴつ)を促進して消化を助けるほか、他のミネラルとともに、血液のpHを調節するのにも役立っています。
 塩分が不足すると、こうした生理作用に支障が生じてしまうのですが、生理的に必要な塩分の量は1日あたり1gで十分といわれ、通常の食生活をしているかぎり、不足することはまずありません。
 逆に塩分の過剰摂取を防ぐには、1日あたり男性8g未満、女性7g未満にとどめるのが目標。食品に含まれる塩分が3g程度と考えれば、調味料としての使用は、4g程度に抑えるのが望ましいでしょう。
 ところで、現在、調味料として市販されている塩の大半は、海水をイオン交換膜によって濃縮したもので、ほとんど純粋の塩化ナトリウムです。そのため、塩気ばかりがきつく、味わいが単調なのが難点。そこで最近では、昔ながらの方法でつくられる自然塩の人気が高まってきました。
 こうした自然塩はミネラルなどを多く含み、うまみやまろやかさに富んでいるのが特徴です。ただ、使用量から考えて、自然塩から各種のミネラルを摂取するのは、ちょっと無理。
 豊富なミネラルは、あくまで味を高める要素だと考えてください。
<おもな調味料の塩分含有量>
 以下に、調味料名/摂取量の目安/食塩相当量の順で示します。
・濃口しょうゆ/大さじ1杯/18g/2.6g
・薄口しょうゆ/大さじ1杯/18g/2.9g
・たまりしょうゆ/大さじ1杯/18g/2.3g
・米味噌(甘味噌)/大さじ1杯/18g/1.1g
・米味噌(淡色辛味噌)/大さじ1杯/18g/2.2g
・米味噌(赤色辛味噌)/大さじ1杯/18g/2.3g
・麦味噌/大さじ1杯/18g/1.9g
・豆味噌/大さじ1杯/18g/2.0g
・カキ油/大さじ1杯/18g/2.1g
・めんつゆ(ストレート)/大さじ3杯/48g/1.6g
・顆粒風味調味料/小さじ1杯/2g/0.8g
・固形コンソメ/1個/4g/1.7g
・ウスターソース/大さじ1杯/16g/1.3g
・トマトケチャップ/大さじ1杯/16g/0.5g
・マヨネーズ(全卵型)/大さじ1杯/12g/0.2g
フレンチドレッシング/大さじ1杯/14g/0.4g
・和風ドレッシング(ノンオイル)/大さじ1杯/16g/1.2g
・豆板醤/小さじ1杯/7g/1.2g
・オイスターソース/大さじ1杯/18g/2.1g
・カレールウ/1食分/20g/2.1g

出典 小学館食の医学館について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android