ソルベー法ともいう.ソーダ灰(炭酸ナトリウム)の製造法.1866年にベルギーのE. Solvay(ソルベー)が創始した.第一次世界大戦終了とともに従来のルブラン法にとってかわり,現在,ソーダ灰製造はすべてこの方法によっている.全反応は
2NaCl + CaCO3 → Na2CO3 + CaCl2
で示されるが,ほぼ次の工程からなる.(1)アンモニアかん水(ammoniacal brine,安かん水)の製造:原料塩を海水に溶かし,CaSO4,MgSO4,MgClを含むので,石灰乳Ca(OH)2を加えてまずMg(OH)2として除き(一次精製),ついで炭酸化塔の廃ガス(NH3-CO2-N2)を通じてCa分を沈殿させ,清澄槽で精製かん水(二次精製)をつくる.近年は,ポリアクリルアミドのような高分子凝集剤を用いて沈殿凝集を促進している.これをアンモニア吸収塔上から流下させ,NH3(CO2と水蒸気を含む)を飽和させる(発熱するから60 ℃ 以下に保つ).安かん水1 L 中に,約NaCl 260 g,NH375 g,CO240 g が含まれる.(2)炭酸化:炭酸化塔(ソルベー塔)の上から安かん水を自然流下してCO2を飽和させ,次式により各塩の溶解度の差を利用してNaHCO3を沈殿させる.
NaCl + NH3 + H2O + CO2 → NaHCO3(1) + NH4Cl
必要なCO2はNaHCO3のか焼と石灰石CaCO3のばい焼によって得られる.炭酸化で反応率を上げるため,塔に冷却部をもうける.反応効率は食塩利用率 UNa,あるいはNH3利用率 UNH3 で表される.実操業では UNa = 75% 程度である.NaHCO3結晶を含む溶液はオリバー式回転円筒型の真空濾過器などでこして,母液と分離する.ケーキ中にNaHCO3は70% 含まれる.結晶を水洗,乾燥後,通常200 ℃ 程度でか焼脱水し,見掛けの比重0.7程度のソーダ灰(軽灰)とする.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
食塩NaClと石灰石(CaCO3が主成分)を主原料、アンモニアNH3を副原料としてソーダ灰(無水炭酸ナトリウムNa2CO3)を製造する方法。ア法とも略す。1860年ベルギーのソルベーが発明したのでソルベー法ともいう。濃厚食塩水にアンモニアを飽和させ、ついで、石灰石を約1000℃で煆焼(かしょう)して得た炭酸ガスを吹き込み、炭酸化を行うと重曹(炭酸水素ナトリウムNaHCO3)が沈殿する。重曹を母液から濾別(ろべつ)して煆焼するとソーダ灰が得られる。母液中には副生した塩安(塩化アンモニウムNH4Cl)が多量溶存しているので、母液に石灰乳を加えて加熱蒸留してアンモニアを回収、再利用する。以上の工程は、
2NaCl+CaCO3―→Na2CO3+CaCl2
の反応である。第一次世界大戦後アンモニアソーダ法が従来のルブラン法に取って替わり、現在、ソーダ灰の製造はほとんどこの方法によっている。ア法の難点は食塩の利用率が約72%と低いことで、工業塩のほとんどを輸入している日本では、この改変法として、ソーダ灰と塩安を併産する塩安ソーダ法を実施している。
[塩川二朗]
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…ベルギーの化学技術者。アンモニアソーダ法またはソルベー法と呼ばれる炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)の工業的製造技術の確立者。製塩業者の子に生まれ,高等教育を受けずに,父やおじの経営する製塩業やガスの製造業に従事した。…
…(1)工業塩からの製造 乾式分解法と湿式分解法とがある。前者にルブラン・ソーダ法,後者にアンモニアソーダ法および塩安ソーダ法がある。アンモニアソーダ法はソルベー・ソーダ法(ソルベー法)とも呼ぶ。…
※「アンモニアソーダ法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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