外村繁(読み)トノムラシゲル

デジタル大辞泉 「外村繁」の意味・読み・例文・類語

とのむら‐しげる【外村繁】

[1902~1961]小説家滋賀の生まれ。本名、茂。江州商人である自家歴史を描いた作「草筏くさいかだ」の他に「」「澪標みおつくし」などがある。

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精選版 日本国語大辞典 「外村繁」の意味・読み・例文・類語

とのむら‐しげる【外村繁】

  1. 小説家。滋賀県出身。東京帝国大学在学中、梶井基次郎らと同人誌青空」を創刊。江州商人である自らの家の歴史を日本の近代史を背景に描いた三部作草筏」「筏」「花筏」は代表作。ほかに「澪標(みおつくし)」「落日光景」などの作品がある。明治三五~昭和三六年(一九〇二‐六一

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20世紀日本人名事典 「外村繁」の解説

外村 繁
トノムラ シゲル

昭和期の小説家



生年
明治35(1902)年12月23日

没年
昭和36(1961)年7月28日

出生地
滋賀県神崎郡南五個荘村大字金堂(現・五個荘町)

本名
外村 茂

学歴〔年〕
東京帝国大学経済学部〔昭和2年〕卒

主な受賞名〔年〕
池谷信三郎賞(第5回)〔昭和13年〕「草筏」,野間文芸賞(第9回)〔昭和31年〕「筏」,読売文学賞(第12回・小説賞)〔昭和35年〕「澪標」

経歴
江戸時代から続く近江商人旧家に育つ。三高時代、文芸部の委員となり、梶井基次郎、中谷孝雄らを知る。東大在学中の大正14年、梶井、中谷らと「青空」を創刊し「母の子等」を発表。昭和11年江州商人の世界を書いた「草筏」が第1回芥川賞候補作品となり、13年同作品で池谷信三郎賞を受賞。「草筏」は長篇3部作で、第2部「筏」は31年野間文芸賞を受賞、第3部「花筏」は33年に刊行された。また35年には「澪標」で読売文学賞を受賞した。地味な私小説作家であるが、他に「夢幻泡影」「最上川」「落日の光景」「澪れにぞ澪れし」などの作品がある。平成10年生家の蔵を利用した外村繁文学館が開館

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改訂新版 世界大百科事典 「外村繁」の意味・わかりやすい解説

外村繁 (とのむらしげる)
生没年:1902-61(明治35-昭和36)

小説家。滋賀県南五箇荘村の近江商人の旧家の生れ。本名茂。三高を経,東大経済学部卒業。三高時代は戯曲習作にふけり,東大在学中の1925年,梶井基次郎,中谷孝雄ら三高出身者と同人誌《青空》を創刊,以後小説に専念する。27年,呉服木綿問屋を営む父が死に,跡を継ぐため一時文学を断念した。33年,家業を弟に譲って《麒麟》の同人となり,社会小説《鵜の物語》を書き,好評を博す。続いて発表した《草筏(くさいかだ)》(1935-38)で大いに注目され,第1回芥川賞候補となる。《草筏》は《筏》(1954-56),《花筏》(1957-58)とともに,近江商人藤村家の数代にわたる興亡と血の問題とを描く長編三部作をなす。晩年の《澪標(みおつくし)》(1960)は力作で,私小説の極致とよんでよいものがある。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「外村繁」の意味・わかりやすい解説

外村繁
とのむらしげる
(1902―1961)

小説家。本名茂。明治35年12月23日富裕な近江(おうみ)商人の子として滋賀県に生まれる。東京帝国大学経済学部在学中の1925年(大正14)、三高以来の友人梶井基次郎(かじいもとじろう)らと同人誌『青空』を創刊し習作を発表する。卒業後家業を継ぐため一時文学を断念するが、33年(昭和8)『鵜(う)の物語』を書いて再出発を遂げる。『麒麟(きりん)』『世紀』などの同人となって商店ものの諸作を執筆するなかで、35年、第1回芥川(あくたがわ)賞候補となり、後の『筏(いかだ)』(1954~56)、『花筏』(1957~58)と三部作をなす『草筏』を起稿、3年後に完結する。江州(ごうしゅう)商人外村一族の血筋を内面的に掘り下げた傑作である。戦後は『夢幻泡影』(1949)に亡妻の死を悼み、『澪標(みおつくし)』(1960。読売文学賞受賞)に自身の性欲史を描くが、やがて再婚した夫人とほぼ同時期に癌(がん)に冒される。『落日の光景』(1960)には死と向き合った心境が静かな筆致でつづられている。昭和36年7月28日没。

[高橋真理]

『『外村繁全集』全六巻(1962・講談社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外村繁」の意味・わかりやすい解説

外村繁
とのむらしげる

[生]1902.12.23. 滋賀,南五箇荘
[没]1961.7.28. 東京
小説家。本名,茂。第三高等学校を経て 1927年東京大学経済学部卒業。5年間家業の呉服木綿問屋を経営。その後弟に店を譲って小説を書きはじめ,『鵜の物語』 (1933) などの「商店もの」で注目された。代表作は3部作『草筏』 (35~39) ,『筏』 (54~56) ,『花筏』 (57~58) や,『落日の光景』 (60) ,『澪標 (みおつくし) 』 (60) など。

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百科事典マイペディア 「外村繁」の意味・わかりやすい解説

外村繁【とのむらしげる】

小説家。本名茂。滋賀県生れ。東大経済学部卒。1925年梶井基次郎らと同人誌《青空》を創刊,1935年《草筏(くさいかだ)》で注目された。三部作をなす《筏》《花筏》のほか,晩年の《落日の光景》《澪標(みおつくし)》は私小説の極致と評される。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「外村繁」の解説

外村繁 とのむら-しげる

1902-1961 昭和時代の小説家。
明治35年12月23日生まれ。梶井基次郎らと「青空」を創刊。家業の木綿問屋を弟にゆずり文筆生活にはいる。近江商人外村一族の興亡に材をえて,「草筏(いかだ)」「筏」「花筏」の3部作を発表。昭和36年「澪標(みおつくし)」で読売文学賞。昭和36年7月28日死去。58歳。滋賀県出身。東京帝大卒。本名は茂。

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367日誕生日大事典 「外村繁」の解説

外村 繁 (とのむら しげる)

生年月日:1902年12月23日
昭和時代の小説家
1961年没

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