外様(読み)トザマ

デジタル大辞泉 「外様」の意味・読み・例文・類語

と‐ざま【外様/方】

鎌倉幕府以後、将軍一門または譜代家臣でないこと。また、そのような武家大名。→親藩譜代
組織の中などで、主流でなく、傍流立場にあること。また、その人。「―では出世は難しい」

ほか‐ざま【外様/外方】

《「ほかさま」とも》ほかのほう。よそのほう。
「念じて射むとすれども、―へ行きければ」〈竹取

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精選版 日本国語大辞典 「外様」の意味・読み・例文・類語

と‐ざま【外様・外方】

  1. 〘 名詞 〙
  2. そとのほう。ほかのかた。よそのほう。また、ほかから来ること。外来。
    1. [初出の実例]「よこさまにたてる三尺の木丁の前にゐたれはとさまにひねりのきて」(出典:能因本枕(10C終)三一九)
    2. 「常に外様の男とは顔見合も法度にて」(出典:浄瑠璃・平家女護島(1719)四)
  3. 表向き。表立った所。おおやけの場。世間。人前。
    1. [初出の実例]「とざまに交らひても恥なかりしは、はかなくて先づ隠れにき」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)
    2. 「小人の外聞は義理をかく事を恥とせず。ただ外ざまの様子よきを好めり」(出典:集義和書(1676頃)一一)
  4. 鎌倉時代幕府の執権北条氏(得宗)の直臣を御内(みうち)とよぶのに対し、それ以外の譜代の御家人をいう。
    1. [初出の実例]「外様者 将軍家奉公地頭御家人等事也」(出典:沙汰未練書(14C初))
  5. 室町中期以後、武家故実が形成される過程で、将軍家に服属する諸大名の家格のちがいを明示するために設けられた呼び名。時期によって異動があるが、国持外様衆、外様衆、外様大名衆などの類がある。
    1. [初出の実例]「正月一日、一公家・大名・外様・御供衆・御部屋衆・申次衆・番頭・節朔衆・走衆等也、今日計也」(出典:年中恒例記(1544頃))
  6. 江戸幕府関ケ原の役以後徳川氏に服した大名をいい、譜代大名と厳格な差別をつけた。
    1. [初出の実例]「丹州亀山の城主につかへて、やうやう広間の番組に入、外様(トザマ)のつとめをせしが」(出典:浮世草子・武家義理物語(1688)一)
  7. 直系ではなく傍系であること。また、その人。

ほか‐ざま【外様・外方】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古くは「ほかさま」 ) ほかの方。他の方向。他の側。そとの方。
    1. [初出の実例]「中に心さかしき者、念じて射んとすれども、ほかさまへ行きければ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))

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改訂新版 世界大百科事典 「外様」の意味・わかりやすい解説

外様 (とざま)

中世,主として武家において譜代関係にない家臣の呼称。鎌倉時代,幕府の実権を握った北条氏得宗家の被官が御内人(みうちびと)と呼ばれたのに対して,将軍家に直属する一般御家人は外様御家人と呼ばれた。鎌倉時代後期には御内人と外様御家人の対立が深刻となり,前者の代表である平頼綱と後者の代表である安達泰盛が衝突した事変は,1285年(弘安8)の弘安合戦として著名である。室町時代以後は大名の家格を示す呼称として用いられ,外様衆とは幕府と疎遠な関係にある大名の称号となった。江戸時代になると,親藩・譜代大名に対して外様大名があり,一般に関ヶ原の戦の後に徳川家に臣属した大名の呼称となった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外様」の意味・わかりやすい解説

外様
とざま

譜代の関係をもたないで主従関係を結ぶ武家。中世以来使用されている言葉で,鎌倉時代には北条氏得宗 (とくそう) 以外の御家人御内人 (みうちびと) と呼ぶのに対して,外様と呼んだ。室町幕府では家格をさすものとなり,江戸幕府でも同様に使われた。慶長5 (1600) 年の関ヶ原の戦い前後に徳川氏に臣礼をとった大名が外様もしくは表 (おもて) といわれ,三河以来徳川氏に臣属していた譜代大名と区別された。外様大名は加賀の前田,薩摩の島津,長州の毛利などの有力な大名が多く,数では譜代大名に及ばなかったが,幕末には 117家であった。譜代大名に比して石高は大きかったが,江戸からは遠距離の地に封じられることが多く,幕府には敵国視された。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「外様」の解説

外様
とざま

鎌倉時代,北条氏得宗家に仕えた御内(みうち)に対し,それ以外の「将軍家奉公地頭御家人等」を外様と称した。室町時代には武家故実が形成され,大名に家格がつけられるようになり,国持外様衆・外様衆などの呼称が行われ,おおむね将軍に近侍しない者をいった。江戸時代には,関ケ原の戦以後徳川氏に従った大名を外様大名とした。

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とっさの日本語便利帳 「外様」の解説

外様(外様大名)

豊臣政権下の大名で、関ケ原の戦以後、徳川に帰依した諸侯のこと。幕政の中心からは疎外され、遠隔地に配置された。対して、関ケ原の戦以前から徳川に従い、大名に取り上げられた家を譜代(譜代大名)という。

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百科事典マイペディア 「外様」の意味・わかりやすい解説

外様【とざま】

外様大名

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世界大百科事典(旧版)内の外様の言及

【得宗】より

…これを得宗被官または御内人(みうちびと),御内之仁という。その中でも尾藤,万年,関,金窪,南条,平,長崎などは,代官になっても在地土豪を又代官に任じて支配にあたらせ,みずからは在鎌倉の得宗に近侍して,一般御家人の外様に対し御内(みうち)と呼ばれ,一定の政治勢力になっていた。また得宗,一門の諸国守護職占取も進み,とくにモンゴル襲来を契機として西国,九州に増加し,全国の過半数を占めるにいたった。…

【藩】より

…これらの藩の多くは,領地に城を持たない大名であった。また藩は,将軍家との関係で,大きく親藩,譜代藩(譜代),外様藩(外様)に分けられ,親藩はさらに三家(尾張徳川家,紀伊徳川家,水戸徳川家),一門,連枝に分けられた。譜代藩の藩主は,徳川氏が覇権を握る以前より徳川氏の家臣であったもののうち1万石以上の領地を持つもので,多くは徳川氏によって取り立てられたものであり,老中をはじめとする幕府の要職には彼らが就いた。…

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