外浦(読み)とのうら

日本歴史地名大系 「外浦」の解説

外浦
とのうら

[現在地名]因島市外浦町

因島の中心にある中庄大川なかのしようおおかわ入江東南に位置し、東はかがみ浦、西は中庄村に接する。南は標高二九〇・五メートルの天狗てんぐ山、三九〇・五メートルのおく(別名観音山)に囲まれる。宝徳二年(一四五〇)四月五日の銘がある中庄の金蓮こんれん寺の瓦の一枚に「戸浦分 四郎左近 道仏覚善 友貞三人」の名がみえる。これより前の弘安九年(一二八六)一〇月日付の某寄進状(因島村上文書)に、放生会頭田として友貞名の記載があるが、これを村内の小字友貞ともさだの地とする説もある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外浦」の意味・わかりやすい解説

外浦
そとうら

石川県北部,能登半島の北・西岸,日本海に面する海岸の総称。半島最先端部の珠洲岬内浦と境される。内浦とは対照的に,全般に岩石海岸が多く,勇壮な景観に富む。曾々木海岸猿山岬能登金剛などは代表的景勝地。能登半島国定公園に属する。冬は日本海の荒波が岩をかみ,しぶきが泡となって舞い上がる「波の花」が美しい。白米の千枚田 (輪島市) の棚田,仁江の揚浜塩田 (珠洲市) が保存されている。古代渤海国などからの使節が渡来した福浦の港,平時忠が配流された大谷など歴史的事跡にも富む。海岸に沿って国道 249号線が通じている。

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世界大百科事典(旧版)内の外浦の言及

【石川[県]】より

…最高点は輪島市にある高洲(こうのす)山(567m),次いで鳳至(ふげし)郡と珠洲(すず)市の境にある宝立(ほうりゆう)山(469m)で,これらを除けば一般に標高200~300mの準平原状の低い丘陵であり,樹枝状に開析されている。半島の日本海側は外浦,富山湾側は内浦と呼ばれ,地形的には外浦では高い海食崖をめぐらした能登金剛,曾々木海岸(名・天)などの男性的景観がみられるのに対し,内浦ではゆるやかな曲線を描き,九十九(つくも)湾,七尾湾,能登島などの沈降性の女性的景観がみられる。気候的にも対照的で,間垣(まがき)に囲まれた集落は外浦の景観を特色づけているが,これは冬季の風浪を防ぐためのものである。…

【能登半島】より

…石川・富山県境をなす宝達(ほうだつ)丘陵を基部として北に突出し,南北約100km,東西約50kmに及び,半島基部から富来(とぎ),中島,能登島の3町を結ぶ線までの口能登と,その北の奥能登に区分される。また,半島の北岸および西岸の日本海側を外浦,東岸の富山湾側を内浦と呼ぶ。 半島は全体に低平な準平原的地形で,新第三紀層が骨格をつくる。…

【南郷[町]】より

…南郷川,潟上川流域に耕地があり,米作,果樹や野菜の栽培,養豚,養鶏が行われる。漁業は外浦(とのうら),目井津(めいつ)の両港を基地として沖合・遠洋漁業が行われ,カツオ,マグロなど,県下有数の水揚げがある。外浦は古くは対外貿易の寄航地であった。…

※「外浦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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