た‐ぶん【多分】
[1] 〘名〙
① (形動) 数の多いこと。量の多いこと。かなりの程度であること。また、そのものやさま。多数。
※大鏡(12C前)六「あにどのは〈略〉公事より
ほかのこと他分には申させ給はで」
※
小右記‐長
保元年(999)一〇月二三日「上達部多分得
二件題
一云々」
※保元(1220頃か)上「嫡子義朝付いて、多分は
内裏へ参りけり」
[2] 〘副〙
① その可能性が強いことを判断していう。おおかた。多くは。十中八九。
大抵。
※三道(1423)「かやうの能、他分、二切の能也」
② 不確かな
事柄について、こうだろうと推測する場合にいう。おそらく。
※虎明本狂言・
柿山伏(室町末‐近世初)「人ならばにくひ事じゃが、多分からすかと思ふ」
※満韓ところどころ(1909)〈
夏目漱石〉四「中村さんが多分迎へに来て
御出(おいで)でせう」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「多分」の意味・読み・例文・類語
た‐ぶん【多分】
[名・形動]
1 数量・金額の多いこと。また、そのさま。たくさん。多く。「多分な(の)寄付にあずかる」「ビタミンを多分に含んだ果物」
2 (多く「多分に」の形で)かなりの程度であるさま。相当。「考えすぎる傾向が多分にある」
3 あるものの多くの部分のこと。大部分。また、多数。→御多分
「心苦しいからと云うは少分で、その―は」〈二葉亭・浮雲〉
[副]ある事柄についての推量を表す。たいてい。おそらく。「多分雨だろう」「多分大丈夫だと思う」
[アクセント]はタブン、はタブン。
[用法]多分・おそらく――「多分(おそらく)今日は帰りが遅くなります」「Aチームが多分(おそらく)優勝するだろう」など、推量の意では相通じて用いられる。◇両語は過去の推量にも用いる。「あれは多分おととしの暮れだったと思う」「彼はおそらくその事実を知っていたであろう」◇「おそらく」は、その原義から、悪いほうの可能性が高いと推量する気持ちが残り、「おそらく後悔するだろう」のような用法が中心となる。◇「多分」の方がややぞんざいで、「おそらく」の方があらたまった丁寧な言い方になる。「多分彼は来ないだろう」「おそらく彼は来ないでしょう」◇類似の語に「きっと」がある。口頭語で、「Aチームがきっと優勝するだろう」のように、「多分」や「おそらく」と同様に用いるが、「きっと」の方が実現の確かさが強い。
[類語]おそらく・どうやら・大抵・まず・大方・十中八九・けだし・たしか・文字通り・まさに・まさしく
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