大久保忠寛(読み)おおくぼただひろ

精選版 日本国語大辞典 「大久保忠寛」の意味・読み・例文・類語

おおくぼ‐ただひろ【大久保忠寛】

江戸末期の幕臣政治家。号、一翁京都町奉行外国奉行などを歴任し、江戸開城尽力。のち元老院議官。文化一四~明治二一年(一八一七‐八八

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デジタル大辞泉 「大久保忠寛」の意味・読み・例文・類語

おおくぼ‐ただひろ〔おほくぼ‐〕【大久保忠寛】

[1818~1888]江戸末期の幕臣。隠居後、一翁と称する。老中阿部正弘に登用され、目付など諸役職を歴任。戊辰戦争では勝海舟とともに江戸城明け渡しに尽力。新政府にも仕えた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大久保忠寛」の意味・わかりやすい解説

大久保忠寛
おおくぼただひろ
(1817―1888)

幕末~明治前期の政治家。500石の旗本。文化(ぶんか)14年11月29日生まれ。名は三市郎、忠正。志摩守(しまのかみ)、右近将監(うこんしょうげん)、伊勢守(いせのかみ)、越中守(えっちゅうのかみ)。徒頭(かちがしら)のときから老中阿部正弘(まさひろ)に登用され、1854年(安政1)海防掛(がかり)の目付となり、続いて1856年蕃書調所(ばんしょしらべしょ)頭取兼任、翌年長崎奉行(ぶぎょう)から駿府(すんぷ)町奉行へ、1858年禁裏付(きんりづき)、さらに京都町奉行など、中堅どころの役職を歴任した。しかし、大老井伊直弼(いいなおすけ)と対立、罷免された。1861年(文久1)ふたたび蕃書調所頭取となり、続いて外国奉行に転じ、翌年大目付を兼ねた。さらに、講武所(こうぶしょ)奉行と勘定奉行を一時務め、それを最後に退隠、一翁(いちおう)と称した。松平慶永(よしなが)とも親しく、勝海舟(かつかいしゅう)の門下でもあり、外国事情に関心をもつ開明的な幕吏として、その後も長州征伐などを批判し、早くから大政奉還も説いた。1867年(慶応3)幕府の崩壊後も、翌年正月から幕府会計総裁として戊辰(ぼしん)戦争の始末にあたる一方、新政府側からも旧幕府へのパイプ役として重んじられた。その後静岡県、文部省などに勤務、東京府知事、教務少輔(しょうゆう)を経て、1877年(明治10)元老院議官となり、1887年子爵を受けた。明治21年7月31日没。

[河内八郎]

『古川愛哲著『大久保一翁──勝海舟を動かした男』(2008・グラフ社)』『松岡英夫著『大久保一翁』(中公新書)』


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改訂新版 世界大百科事典 「大久保忠寛」の意味・わかりやすい解説

大久保忠寛 (おおくぼただひろ)
生没年:1817-88(文化14-明治21)

江戸末期の幕臣。伊勢守のち越中守。号は一翁。1854年(安政1)老中阿部正弘の人材登用策で徒頭から目付となった。外交に詳しく,外国との貿易開始を主張し続けた。57年長崎奉行に転じ,以後,駿府町奉行,禁裏付,京都町奉行,西丸留守居を歴任したが,59年8月,安政の大獄で罷免された。61年(文久1)許されて蕃書調所頭取となり,64年までの間に,外国奉行,大目付,側衆,講武所奉行,勘定奉行を務めた。王政復古直後の68年1月,会計総裁,ついで若年寄となり,戊辰戦争に際しては,陸軍総裁勝義邦(海舟)とともに江戸の無血開城の実現に努力した。72年東京府知事などを経て,77年元老院議官となる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大久保忠寛」の意味・わかりやすい解説

大久保忠寛
おおくぼただひろ

[生]文化14(1817).11. 江戸
[没]1888.7. 東京
江戸時代末期の幕臣でのち明治新政府官員。一翁と号した。勝安芳 (海舟) に師事し,老中阿部正弘に登用されて小納戸役から蕃書取調所頭取,京都町奉行を経て文久1 (1861) 年外国奉行となり,翌年大目付をも兼ねた。慶応2 (66) 年には,公議政体の導入を建白。同4年,幕末期に会計総裁,若年寄となって事態の収拾に尽力。この間,小栗忠順 (ただまさ) ら主戦派とは対立関係にあった。新政府のもとでは,明治2 (69) 年8月静岡藩権大参事,同4年 11月静岡県知事となって旧幕臣団の収拾に努めた。同5年5月東京府知事に転じ,さらに教部少輔,元老院議官を歴任。子爵。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大久保忠寛」の解説

大久保忠寛 おおくぼ-ただひろ

大久保一翁(おおくぼ-いちおう)

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