日本大百科全書(ニッポニカ) 「大刀会」の意味・わかりやすい解説
大刀会
だいとうかい
中国、18世紀後半から清(しん)末にかけて、山東、河南、安徽(あんき)、江蘇(こうそ)の四省境界地域に広がった民間秘密結社の一つ。白蓮(びゃくれん)教系八卦(はっけ)教の武術組織である坎門(かんもん)に由来し、呪文(じゅもん)を唱え、符(ふ)を飲み、拳術(けんじゅつ)などの武芸によって筋肉を鍛えれば、刀や銃弾を跳ね返せると説いた。19世紀後半以降、頻発した水・干害、外国工業製品の輸入による家内手工業の破壊などによる農民の流民化、大運河による税米輸送の海運への変更などがもたらした、船頭や曳船(えいせん)人夫の失業などを背景とする土匪(どひ)の跳梁(ちょうりょう)に対する自衛組織として、農民や小地主に支持され、拡大した。19世紀末、義和拳(ぎわけん)とともに、ドイツを背景とするカトリック教団(聖言会)の強引な布教に対する反キリスト教暴動に大きな役割を果たし、義和団の源流となった。
[小島晋治]