奈良県北西部にある商工業都市。奈良盆地南西部の低平な沖積地に位置する。1948年(昭和23)高田町が大和高田と改称して市制施行。1956年陵西(はかにし)、1957年天満(てんま)の2村と広陵(こうりょう)町の一部を編入。JR和歌山線・桜井線、近畿日本鉄道大阪線・南大阪線、国道24号、165号、166号が通じる。「高田」の地名は、『日本書紀』武烈(ぶれつ)天皇3年11月条にある「高田丘」に由来するといわれる。市域東部と中央部を大和川の支流葛城(かつらぎ)川と高田川が天井川をなして北流する。旧高田川は中心市街地の中央を流れていたが、洪水防止のため西方に付け替えられ、旧河道は中央道路(県道)となった。1430年(永享2)ごろ旧高田川東岸に当麻(たいま)氏が高田城を築き、それを中心に集落ができた。一方、1600年(慶長5)には西岸の専立寺(せんりゅうじ)を中心に寺内(じない)町が形成され商業が発達した。中心市街地はこれら両岸地区(本郷、内本)を核とし、やがて旧国鉄の和歌山線、桜井線などが開通すると、駅前に形成された商店街が旧市街地と連絡して発展したものである。市の代表的産業は、メリヤス、靴下などの繊維工業で、近世の大和木綿や、1898年(明治31)創立の紡績工場の伝統を引き継いでいる。そのほか、ゴム製品、合成樹脂加工、食料品工業が多いが、その大部分は中小零細規模である。花卉(かき)・蔬菜(そさい)栽培などの近郊農業が盛ん。本郷地区の真言(しんごん)宗御室(おむろ)派の不動院本堂(1483年建立)は国指定重要文化財。根成柿(ねなりがき)にある天満神社本殿は県指定文化財。面積16.48平方キロメートル、人口6万1744(2020)。
[菊地一郎]
『『大和高田市史』(1958・大和高田市)』▽『『改訂大和高田市史』全2巻(1984、1987・大和高田市)』
奈良県北部の市。1948年市制。人口6万8451(2010)。奈良盆地南西部にあり,金剛山地より流れ出た葛城(かつらぎ)川と高田川が形成する扇状地の末端部に位置する。高田は大坂方面よりの長谷詣の街道筋に当たり,中世には摂関家領平田荘の荘官当麻(たいま)(高田)氏が高田城に拠り,また万歳城に拠る万歳氏がいて,抗争を繰り返した。近世には西本願寺掛所の専立(せんりゆう)寺(高田御坊)の門前を中心に寺内町が形成された。現在は,近鉄南大阪・大阪両線とJR和歌山・桜井両線が通じ,大阪への通勤圏に含まれてベッドタウン化が進み,市街地は南部や西部に拡大している。産業は,大和木綿の伝統を継いだ靴下,メリヤスなどの繊維産業が盛んで,その他にゴム製品,ボタン関係の工場も多い。当麻氏によってまつられた高田天神社,長谷観音と同木といわれる十一面観音を本尊とする長谷本(はせもと)寺などがある。
執筆者:橋本 征治
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