布引山地(読み)ヌノビキサンチ

デジタル大辞泉 「布引山地」の意味・読み・例文・類語

ぬのびき‐さんち【布引山地】

三重県中西部、伊勢平野上野盆地の境に南北に連なる山地。長さ約30キロメートル。最高峰南部に位置する大洞おおぼら山(標高985メートル)。東西を断層で区切られ、伊勢湾側が急崖となっている。山地中に約16キロメートルにわたって隆起準平原が広がり、青山高原と呼ばれる。室生むろう赤目青山国定公園に属する。名は、地形が布を引いたように見えるところから。

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日本歴史地名大系 「布引山地」の解説

布引山地
ぬのびきさんち

一志郡の西端、名賀郡阿山郡との境界をなす山地で、青山あおやま峠を中心に南北約二〇キロにわたる地域を占める。北の長野ながの峠にはじまり、笠取かさとり(八二八メートル)から青山高原・元取もとどり(髻ヶ岳、七七九メートル)を経て、室生むろう火山群に達する。標高六〇〇―八〇〇メートルの起伏の少ない緩やかな山並が続き、現在東海自然歩道が縦貫室生赤目青山国定公園に含まれ、中央部は青山高原県立公園に指定されている。笠取山の東麓には平安時代から知られた七栗ななくりの湯(現久居市榊原温泉)がある。鴨長明は

<資料は省略されています>

と詠んでおり、「此の歌伊勢記云二見のおとなし山にのぼりて海山をはるかに見けるに布引の山を見てよめる」との詞書がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「布引山地」の意味・わかりやすい解説

布引山地 (ぬのびきさんち)

三重県の北西部を南北に走り,伊勢平野と上野盆地を分ける山地。北は加太かぶと)の鞍部で鈴鹿山脈と接し,南は尼ヶ岳(957m),大洞(おおぼら)山(985m)を経て高見山地に続く。地質は花コウ岩類からなるが,室生火山群に属する。尼ヶ岳と大洞山は流紋岩質の溶結凝灰岩浸食や変位を受けたものである。鈴鹿山脈など近畿地方の内帯中部にみられる南北方向の山地とともに,六甲変動によって準平原状の小起伏面が隆起したもので,東側は一志断層により急崖となって伊勢平野に臨み,西側は上野盆地に向かって緩やかに傾斜している。山地は室生赤目青山国定公園に指定されており,笠取山(842m)周辺の青山高原などの行楽地がある。山地を横断して,北部の長野峠(475m)を伊賀街道が,中部の青山峠(500m)を参宮街道が通じている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「布引山地」の意味・わかりやすい解説

布引山地
ぬのびきさんち

三重県中西部、伊勢(いせ)平野と上野盆地の境を南北に走る山地。北は加太(かぶと)地溝から南は室生(むろう)火山群まで約30キロメートル続く。最高峰の大洞(おおぼら)山(985メートル)のほかに尼(あま)ヶ岳(958メートル)、笠取(かさとり)山(842メートル)、経(きょう)ヶ峰(819メートル)などがある。山地は東西を断層で切られ、伊勢湾側に急崖(きゅうがい)をなす傾動地塁で、領家(りょうけ)帯の片麻(へんま)岩類、花崗(かこう)岩類で構成される。山頂に隆起準平原の平坦(へいたん)面が約16キロメートルにわたって広がり、青山高原(あおやまこうげん)とよばれ、室生赤目青山国定公園(むろうあかめあおやまこくていこうえん)の一部をなしている。

[伊藤達雄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「布引山地」の意味・わかりやすい解説

布引山地
ぬのびきさんち

三重県中部を南北に連なる山地。北は加太越から南は大洞山 (おおぼらやま。 985m) までで,南端は室生火山群に接する。伊勢平野上野盆地の境をなし,最高峰の大洞山をはじめ,尼ヶ岳 (958m) ,笠取山 (842m) ,経ヶ峰 (820m) などがある。東に急斜面をもつ傾動地塊で,中央部の山頂には広い隆起準平原青山高原があり,ドライブウェーやハイキングコースが通じる。笠取山に航空自衛隊のレーダ基地,東麓の津市に榊原温泉がある。室生赤目青山国定公園に属する。

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