伊予国(愛媛県)の中西部、肱(ひじ)川が貫流する大洲盆地を中心とする外様(とざま)藩。藤堂高虎(とうどうたかとら)、脇坂安治(わきざかやすはる)・安元(やすもと)父子の後を受け、1617年(元和3)伯耆(ほうき)国(鳥取県)米子(よなご)から加藤貞泰(さだやす)が6万石を得て就封、13代約250余年間続いて明治維新に及んだ。1623年新谷(にいや)藩1万石を分知し、実質5万石ながら6万石の格式で遇された。1635年(寛永12)風早(かざはや)郡、桑村(くわむら)郡の飛地(とびち)を松山藩と交換して所領を喜多(きた)、伊予、浮穴(うけな)の3郡にまとめることができ、新領を「御替地(おかえち)」とよんだ。1658年(万治1)御替地漁民が松山藩領松前(まさき)漁民と漁場論争を起こしたが、土佐藩主の調停で事なきを得た。1750年(寛延3)内ノ子(うちのこ)騒動とよばれる大規模な農民一揆(いっき)が勃発(ぼっぱつ)したが、新谷藩と寺院の調停で1人の犠牲者も出さず農民の願いが達せられた。陽明学者中江藤樹が若き日に仕えたこの藩は好学の藩風で知られ、藩校止善(しぜん)書院明倫堂や常磐井(ときわい)家の私塾古学堂(こがくどう)が人材を出した。
[伊藤義一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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