春秋の除目(じもく)すなわち任官に際して作製される文書で,欠員の官職名と任官候補者名を列記したもの。任官候補者名を記入するため,あらかじめ間隔をあけて記されるので大間書あるいは大間と呼ばれる。神祇官,太政官以下諸国司に及ぶ長大な文書である。除目の銓擬(せんぎ)が終了すると,執筆の大臣が欠員官職名の下に任官候補者の位階氏姓名を記入する。これを入眼という。入眼を終えると奥に日付を記入し,奏覧を経て清書の上卿に付せられ,黄紙もしくは白紙に清書された。大間書作製の作法については,《建武年中行事》などに詳しい。大間書の実例として,《正・続群書類従》公事部に,長徳2年(996),保元4年(1159),享徳2年(1453),天文20年(1551)のもの4点が収められている。現存最古の大間書は,長徳2年のもので,東洋文庫所蔵岩崎文庫本〈塚本文書〉中に鎌倉時代の古写本がある。
執筆者:柳 雄太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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除目(じもく)のときつくられる文書の一つ。大間ともいう。神祇官(じんぎかん)、太政官(だいじょうかん)から諸国や鎮守府に至る内外の諸司名と、そのとき欠員の官名を列記してあり、執筆の大臣は任命にしたがって任官者の位階姓名等を記入していくが、のちに参議が清書する。現存の最古の大間書は鎌倉時代の写本(東洋文庫蔵)の存する長徳(ちょうとく)2年(996)のもので、『続群書類従』に収録。同書には室町後期のものも収めるが、明らかな架空名が多くみられ興味深い。
[黒板伸夫]
大間とも。除目(じもく)で選考結果を記録する帳簿。欠員となっている官職を書き並べた巻子(かんす)で,外記(げき)が準備し,除目の執筆(しゅひつ)はここに新任者名と任官事由(尻付(しつけ))を順次記入していった。議が終わると天皇の確認をうけ,清書上卿(しょうけい)が正式の任官文書の「除目」を作成するための台帳となった。「長徳二年(996)大間書」(「続群書類従」所収)が現存最古のもの。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…後京極摂政とよばれた藤原(九条)良経(1169‐1206)が類聚。年々の大間書(おおまがき)(欠員の官を列記し,除目のときに任官者を記入する文書)を集めて,例えば年給,成功(じようごう),官司等の挙奏,巡任,兼国など任官の事由によって詳細に分類したもの。参考とすべき任官申請の申文,年労(勤続年数)や上日(出勤日数)などの勘文(調査書)等をも多く収載している。…
※「大間書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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