上卿(読み)ショウケイ

デジタル大辞泉 「上卿」の意味・読み・例文・類語

しょう‐けい〔シヤウ‐〕【上×卿】

《「じょうけい」とも》
朝廷の諸行事会議などの執行責任者として指名された公卿くぎょう。列席した公卿中の首席の者が選ばれた。
記録所長官
公卿くぎょう異称

じょう‐きょう〔ジヤウキヤウ〕【上×卿】

しょうけい(上卿)

じょう‐けい〔ジヤウ‐〕【上×卿】

しょうけい(上卿)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「上卿」の意味・読み・例文・類語

しょう‐けいシャウ‥【上卿】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 朝廷の諸行事・会議などの執行の責任者として指名された公卿(くぎょう)。おおむね一回ごとにあらたに定められる。
    1. [初出の実例]「天皇為奏状、召上卿」(出典:九暦‐逸文・天徳元年(957)三月一四日)
    2. 「中将の中納言にて、春の春日の祭の上卿せさせ給」(出典:栄花物語(1028‐92頃)紫野)
  3. 記録所の長官。
    1. [初出の実例]「但於上卿弁者、可記録所事由被宣下也」(出典:職原鈔(1340)下)
  4. 公卿(くぎょう)の異称。〔饅頭屋本節用集(室町末)〕
  5. 古代中国で、公卿(こうけい)のうちの上位の者。〔春秋左伝‐桓公三年〕

じょう‐きょうジャウキャウ【上卿】

  1. 〘 名詞 〙しょうけい(上卿)
    1. [初出の実例]「げにもとて伝奏の上卿(キャウ)両三人〈略〉衛府官四五人許(ばかり)を召し具せられ」(出典:太平記(14C後)三四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「上卿」の意味・わかりやすい解説

上卿 (しょうけい)

朝廷において恒例・臨時の儀式政務を主宰する上首の公卿をいい,上(しよう)とのみ略記することもある。おおむね前年度末に行われる公卿分配(行事の役割分担)で,だれがどの行事の上卿になるかが定まるが,大臣・大中納言が充てられる。しかし公卿分配をしない行事の中には,当日参入した公卿の上位の者を上卿とすることがあり,これを日上(ひのしよう)といった。また参議も上卿になる例があるが,小行事(たとえば国忌,大祓,梅宮祭,吉田祭)にかぎられる。元日白馬あおうま)などの節会や祈年穀奉幣は一上(いちのかみ)(主として左大臣)が内弁となって行事を主宰し,仁王会,大嘗会は大納言が検校となって行い,ともに上卿とはいわない。上卿が政務の場で天皇の裁可を経て下す文書を奉勅宣,上卿が独断できめる文書を上宣という。なお公卿全体をさして上卿といった例や,平安末に置かれた記録所の長官を上卿といった事例もある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「上卿」の解説

上卿
しょうけい

太政官の行う政務・行事を,弁・史を指揮して執行する公卿(くぎょう)。太政官の関与する恒例・臨時の行事には準備・実施する行事所がおかれ,その上首を行事上卿といった。行事の大小で上卿となる公卿のクラスは決まっていた。通常中納言以上であるが,国忌(こっき)など恒例の神事・仏事の一部は参議も勤めた。外記政(げきせい)・陣定(じんのさだめ)などの日常政務では,その日参入した公卿の上席の者が上卿(日上(ひのしょう))となった。なお公卿とまったく同義のこともある。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上卿」の意味・わかりやすい解説

上卿
しょうけい

平安時代以降,朝廷の行事を担当奉行する上首の公卿。節会など大行事には大臣が,小公事には大・中納言,参議が上卿となる。恒例の行事の一部分については,前年の 12月頃に公卿分配があって上卿が予定された。このほか公卿の別称にも用いられ,記録所長官 (かみ) も上卿と呼ばれた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android