天保巡見日記(読み)てんぽうじゆんけんにつき

日本歴史地名大系 「天保巡見日記」の解説

天保巡見日記
てんぽうじゆんけんにつき

四巻 芳賀市三郎著

成立 天保九年

原本 宮内庁書陵部

写本 内閣文庫

解説 天保八年七月に御料所巡見副使に任命された芳賀市三郎が、翌九年三月より巡見に回った地域・村々の備忘日録。元・享・利・貞の四巻に分れ、元の巻では序・凡例・石図・植物図をあげ、形勢・風俗・土質物産総説を国ごとに記す。例えば上野国は「武州より少し劣るといへとも上国なり」とある。享の巻以下で三月一八日の江戸立ちからを記す。途次の名勝等で写生した絵も収める。内容は各村の自然風土や地味・人情・民業寺社のほかに、休泊所の所相場として白米と銭の値段も記され、多岐に及ぶ。また村役人らの訴状願書などを受取っている。道筋新町から妙義山・榛名山の山麓高崎伊勢崎桐生に出て、下野に回っている。

活字本群馬県史」資料編一三


天保巡見日記
てんぽうじゆんけんにつき

四巻四冊 芳賀市三郎清雄著

成立 天保九年

稿本 宮内庁書陵部

写本 国立公文書館内閣文庫

解説 著者は一二代将軍徳川家慶の就任に際し関東の幕府領に派遣された勘定所役人からなる巡見使の副使。石・植物の図と解説および地勢・土質・物産・風俗の総説を最初に置き、武蔵上野・下野・常陸下総の巡見記録を収める。村ごとに地形土質・農林作物生育状況から経済一般、村柄から住民の気質に至るまで観察が詳しい。なお写本は挿絵が異なる。

活字本 「新編埼玉県史」資料編一四(総説と武蔵国のみ)・「群馬県史」資料編一三(上野国のみ)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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