季節の風(読み)きせつのかぜ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

季節の風
きせつのかぜ

●印は、季語としても使われる。*印は、別に本項目としてある。
〔新年〕
初凪(はつなぎ)
  元旦(がんたん)の凪。
初東風(はつごち)
  新年最初の東風。節東風(せちごち)ともいう。
儺追風(なおいかぜ)
  儺追の神事にちなんで、陰暦1月13日に吹く風。
〔春〕
春風(はるかぜ)
  春吹く穏やかな風。長く続かず2、3日でやむ。
 ぽやぽやみなみ
  初春の南風。茨城県でいう。
東風(こち)
  春に吹く東風。強東風(つよごち)、雲雀東風(ひばりごち)、あめごち、梅ごち、桜ごち、真東風(まごち)、鰆東風(さわらごち)などの用語がある。
 梅東風(うめごち)
  春の東風。岡山県でいう。
 岩げ(いわげ)
  春の西風。愛知県でいう。
 鹿の角落し(しかのつのおとし)
  2、3月ごろ、晴れた日に吹く南西風。山口県でいう。
貝寄せ(かいよせ) (貝寄風(かいよせ)
  春に吹く冬の季節風の名残(なごり)。大阪天王寺の聖霊会(しょうりょうえ)(陰暦2月20日前後)のころに吹き、西風のことが多い。
春一番(はるいちばん)
  立春を過ぎて吹く最初の強い南風。海難を伴うことが少なくない。春二番、春三番と続く。
 岩起(いわおこし)
  3月ごろの西風。広島県でいう。
涅槃西風(ねはんにし)
  彼岸の前後に吹く西風。彼岸西風(ひがんにし)、涅槃吹ともいう。
比良八荒(ひらはっこう)
  陰暦2月24日のころ、琵琶(びわ)湖西岸の比良山系から吹き下りてくる強風。
桜まじ(さくらまじ)
  桜のころに吹く南の暖風。日和南風(ひよりまじ)ともいう。
 鰹日和(かつおびより)
  春の東風の吹く日。
 おぼせ
  4月ごろ日和(ひより)のとき吹く南風。伊勢(いせ)、伊豆、淡路など。
油風(あぶらかぜ)
  4月ごろ吹く南寄りの穏やかな風。油まじ、油まぜともいう。東海道沿岸地方でいう。
春疾風(はるはやて)
  春の大風。春荒(しゅんこう)、春嵐、春はやち、春北風、春(しゅんれい)ともいう。
ようず*
  南から吹く雨もよいの風。西日本でいわれる。
 したけ
  春から夏にかけて吹く東ないし南の風。
〔夏〕
麦の秋風(むぎのあきかぜ)
  麦嵐(むぎあらし)ともいう。麦秋(ばくしゅう)に野を吹く風。
黄雀風(こうじゃくふう)
  陰暦の5、6月ごろに吹く南東風。
 沖南風(おきはえ)
  5月ごろから吹く南西の風。南九州でいう。
 菖蒲東風(しょうぶこち)
  5月ごろ吹く東風。
茅花流し(つばなながし)
  茅花(一名チガヤ)のワタの花がほぐれるころ(5月ごろ)に吹く南風。
ながし
  5月ごろの南風。九州でいう。
筍流し(たけのこながし)
  夏、タケノコの生えるころに吹く南風。
 しゅたらべー
  梅雨(つゆ)に入る前に吹く湿気の多い南風(はえ)。喜界島でいう。
 ながしはえ
  「ながし」は梅雨などの長雨のことで、梅雨どきの南風をいう。
やませ*
  梅雨期の北東風。山背かまたは闇(やみ)風の転訛(てんか)したもの。日本海側では山を背にして吹く風で、港から船を送り出すのに好都合の風であった。三陸沖で「やませ」という場合は海からの北東の気流が山に向かうもので、これに山背をあてるのはおかしい。むしろ、闇のように暗い沖合いから吹き込んでくる風と考えるべきであろう。
節の西風(せつのにしかぜ)
  田植のころに吹く西風。雨を伴うことが多い。
南風(はえ)
  主として真南の風のことであるが、所により南西や南東になる。正南風(まはえ)、南東風(はえごち)、南西風(はえにし)、沖南風(おきはえ)、黒南風(くろはえ)、白南風(しろはえ)など、さまざまな用例がある。
黒南風(くろはえ)
  梅雨の初めごろ吹く南風。
白南風(しろはえ)
  梅雨があけて黒雲が去り、空に白く巻雲(けんうん)のかかるころ吹く風。
新南風(あらばえ)
  または荒南風(あらばえ)。梅雨の中ごろに吹く南風。
いなさ
  梅雨期に海から吹く南東風。関東でおもにいわれる。
ひかた
  「しかた」ともいう。夏の季節風。風向は場所によって異なる。この風が吹くときは晴天で海上は穏やか。
青嵐(あおあらし)
  夏嵐、風青しともいう。5~7月ごろ青葉を揺り動かして吹く南風。
南風(みなみ)
  夏の季節風ともいう。
風薫る(かぜかおる)
  薫風(くんぷう)ともいう。夏、青葉を吹きわたるにおうようなさわやかな風。
まじ*
  まぜともいう。太平洋側で使われる。南ないし南西の穏やかな風。
 湿風(しっぷう)
  夏に吹く湿った風。
あいの風(あいのかぜ)
  饗(あい)の風。夏、日本海側で沖から吹く穏やかな北風。魚貝・海藻などを吹き寄せてくれる。
だしかぜ*
  越後(えちご)方面で吹く山越えの乾風(フェーン)。海岸から沖に吹き出すという意味。海岸の方向によって風向きが違う。
熱風(ねっぷう)
  乾風、炎風ともいう。夏に吹く高温で乾いた風のこと、一種のフェーンである。
 かんだち(神立)
  夏の雷に伴われた疾風。
くだり
  夏、日本海側で吹く南寄りの風。この反対の北寄りの風を「のぼり」という。
青東風(あおごち)
  土用中に一点の雲もなく青空に東風のわたること。
 さ西(さにし)
  夏の土用中の西風。南九州でいう。
土用あい(どようあい)
  夏の土用に吹く涼しい北風。
御祭風(ごさい)
  夏の土用なかばごろ1週間ほど続けて吹く北東の風。御祭は伊勢(いせ)神宮の陰暦6月16~17日の祭礼のこと。
土用東風(どようごち)
  青東風ともいう。夏の土用に吹く涼しい東風。
風死す(かぜしす)
  盛夏のころ、風がばったりとだえて、耐えられぬ暑さのこと。
土用凪(どようなぎ)
  夏の土用に風がまったくないこと。
朝凪(あさなぎ)・夕凪(ゆうなぎ)
  朝夕、海陸風の交替時に現れるなぎ。
温風(おんぷう)
  晩夏に吹く暖かい風。
涼風(すずかぜ)
  涼風(りょうふう)ともいう。晩夏のころ吹く。
〔秋〕
秋風(あきかぜ)
  金風(きんぷう)、素風(そふう)、色なき風、鳩(はと)吹く風、鯉魚(りぎょ)風、爽籟(そうらい)などともいう。そのさわやかな響きを爽籟という。
秋の初風(あきのはつかぜ)
  秋の到来を告げる初秋の涼風。
初嵐(はつあらし)
  秋の初めに吹くかなり強い風。
荻の声(おぎのこえ)
  オギの葉に吹く秋の初風。荻の風、荻吹くともいう。
青北風(あおきた)
  初秋の北風。やや強く、青空のことが多い。
盆東風(ぼんごち)
  盂蘭盆(うらぼん)のころに吹く東風。盆北風(ぼんぎた)という語もある。
送南風(おくりまじ)
  後(おく)れ南風(まじ)ともいう。盆東風(ぼんごち)が過ぎてから吹く南風。
 浜西(はまにし)
  9月ごろ、何日か吹き続く西風。西日本でいう。
裏白(うらじろ)
  数日にわたって吹く南西風。麻の葉を吹き返す。
野分(のわき)
  秋に吹く暴風。
台風(たいふう)
  颱風とも書く。
やまじ*
  台風に伴われた局地的強風。瀬戸内地方でいわれる。
おしあな*
  西日本では北西風を「あなし」というが、このあなしを押し返すような南東の風をいう。台風のときなどに吹く。
鮭颪(さけおろし)
  サケが産卵のために川を上るころ吹く野分(のわき)のような風。
雁渡(かりわたし)
  青北風(あおきた)ともいう。カリが渡っていく9~10月にかけて吹く北風。
高西風(たかにし)
  晩秋から初冬にかけて吹く北寄りの風。
黍嵐(きびあらし)
  冬の季節の吹き始め。キビの穂が倒れるほど強く吹く。
大西風(おおにしかぜ)
  「おおにし」ともいう。晩秋から冬に吹く強い西風。海が時化(しけ)る。
〔冬〕
冬の風(ふゆのかぜ)
  寒風のこと。
木枯し(こがらし)
  凩(こがらし)、木嵐とも書く。晩秋から初冬にかけて木を吹き枯らす風。
北風(きたかぜ)
  朔風(さくふう)、北風(きた)ともいう。
からっ風(からっかぜ)
  冬の北西の乾風。上州(群馬県)地方でいわれる。
あなじ*
  「あなぜ」「あなし」ともいう。冬に西日本で北西から吹く強風。
 べっとう
  東日本の太平洋側で吹く北寄りの強風。べっとう時化(しけ)ともいう。
星の入東風(ほしのいりごち)
  陰暦10月ごろ吹く北東風。星はすばるのことで、明け方にすばるが没するころ吹く東風。
 御影講荒(みえこうあれ)
  陰暦10月13日、日蓮上人(にちれんしょうにん)の御影講の日の荒れ模様の天気。
ならい*
  「ならひ」ともいう。東日本の太平洋岸で冬に吹く北寄りの風。
たま風(たまかぜ)
  たば風ともいう。北日本の日本海側で吹く北寄りの風。
神渡し(かみわたし)
  神立風(かむたつかぜ)ともいう。神無月(かんなづき)、すなわち陰暦10月ごろに吹く西風をいう。
隙間風(すきまかぜ)
  ひまもる風ともいう。戸や障子や壁のすきまから吹く風。
時雨(しぐれ)
  一時的な驟雨(しゅうう)と考えられているが、し=風の古語、くれ=狂う、からの転訛(てんか)とする説もある。前線の通過に伴われた風の乱れと驟雨、いわゆるスコール現象をいうものと考えられる。
北颪(きたおろし)
  山から吹き下ろしてくる北風。「おろし」には、赤城(あかぎ)、筑波(つくば)、比叡(ひえい)、富士、伊吹、摩耶(まや)、六甲(ろっこう)などの名称をつけた強風がある。
居吹(いぶき)
  数日にわたって吹く西風。
虎落笛(もがりぶえ)
  ひゅうひゅう音をたてる冬の風。
御講凪(おこうなぎ)
  11月の親鸞(しんらん)の忌日(旧暦11月28日)、すなわち御講の行われるころの穏やかな日和(ひより)
大師講吹雪(だいしこうふぶき)
  11月の三度(4日、14日、24日)の大師講のころ東北地方をしばしばみまう風雪。
御誕生時化(おたんじょうしけ)
  クリスマスのころの荒れ模様の天気。天草(あまくさ)の隠れキリシタンの間で使われる。
八日吹き(ようかぶき)
  陰暦12月8日の荒れ模様。
冬凪(ふゆなぎ)
  寒凪(かんなぎ)、凍凪(いてなぎ)ともいう。冬の海が風もなくなぎわたること。
節東風(せちごち)
  陰暦12月ごろに吹く東風。立春を過ぎると雲雀東風(へばるごち)という。節東風は雨を伴い、雲雀東風は晴天をもたらす。

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