麦秋(読み)ムギアキ

デジタル大辞泉 「麦秋」の意味・読み・例文・類語

むぎ‐あき【麦秋】

麦秋ばくしゅう」を訓読みにした語。 夏》「―やきつねののかぬ小百姓蕪村

ばくしゅう【麦秋】[映画]

小津安二郎監督・脚本による映画題名。昭和26年(1951)公開。なかなか結婚しない娘と彼女を心配する家族の日常を描く。第25回キネマ旬報ベストテンの日本映画ベストワン作品。第6回毎日映画コンクール日本映画大賞受賞。

ばく‐しゅう〔‐シウ〕【麦秋】

麦の取り入れをする季節初夏ころ。むぎあき。むぎのあき。 夏》鳴門見て讃岐―渦をなす/澄雄」
[補説]作品名別項。→麦秋

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「麦秋」の意味・読み・例文・類語

ばく‐しゅう‥シウ【麦秋】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 麦の実り熟する時季。初夏のころ。麦の秋。むぎあき。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「千峯の鳥路は梅雨を含めり 五月の蝉の声は麦秋を送る〈李嘉祐〉」(出典:和漢朗詠集(1018頃)上)
  3. 陰暦四月の異称。〔色葉字類抄(1177‐81)〕

むぎ‐あき【麦秋】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「麦秋(ばくしゅう)」の訓読み ) 麦の実り熟する時節。初夏の頃。麦の秋。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「五月の時分なれば麦秋と云てむきあきで秋成ぞ」(出典:京大本湯山聯句鈔(1504))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「麦秋」の読み・字形・画数・意味

【麦秋】ばくしゆう(しう)

麦の熟するとき。初夏。〔初学記、三、麦秀の注に引くの月令章句〕百其の初生を以て春と爲し、熟するを秋と爲す。故に麥は孟夏を以て秋と爲す。

字通「麦」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル大辞泉プラス 「麦秋」の解説

麦秋

1951年公開の日本映画。監督・脚本:小津安二郎、脚本:野田高梧、撮影:厚田雄春、美術:浜田辰雄。出演:菅井一郎笠智衆原節子杉村春子淡島千景、高橋豊子、東山千栄子ほか。第25回キネマ旬報ベスト・テンの日本映画ベスト・ワン作品。第6回毎日映画コンクール日本映画大賞、女優演技賞(原節子)受賞。第2回ブルーリボン賞監督賞、撮影賞、助演女優賞(杉村春子)ほか受賞。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

百科事典マイペディア 「麦秋」の意味・わかりやすい解説

麦秋【ばくしゅう】

〈むぎあき〉とも。初夏の麦の刈入時。〈あき〉という言葉には百穀成熟の意味があるが,気象的にも空気が乾いて気持のよい陽気という意味で秋と共通性が多い。旧暦4月の旧称。歳時記では夏の季語。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の麦秋の言及

【季語】より

…暮春),草餅。
[夏]
 薄暑(やや暑さを感じる初夏の候),麦秋(麦の刈入れ時),入梅(立春から135日目の梅雨の入り),梅雨(入梅から30日間),五月雨(さみだれ)(梅雨の雨),五月晴(さつきばれ)(梅雨の晴れ間),短夜(みじかよ),半夏生(はんげしよう)(夏至から11日目の物忌みの日),梅雨明,盛夏(夏の盛り),卯の花腐(くた)し(春雨と梅雨の間の長雨),青嵐(あおあらし)(青葉のころの強い風),薫風(さわやかな夏の南風),雹(ひよう),虹,雷,雲の峰(入道雲に同じ),日盛(ひざかり)(夏の日中の暑いさかり),油照(あぶらでり)(薄く曇ってむし暑い日和),炎天(真夏の燃えるような空),冷夏(異常に温度の低い夏),朝焼,夕焼,大暑(二十四節気の一つで夏の暑さのさかり),土用(立秋の前の18日間,暑中という),土用波(土用のころの高波),更衣(ころもがえ)(夏服に着がえること),雨乞,行水,虫干(土用干ともいう),花火,納涼(涼をとること),昼寝,氷室(ひむろ)(氷を貯蔵していた穴),清水(しみず),水中(あた)り(慣れないなま水で胃腸を損なうこと),早乙女(さおとめ)(田植えをする若い女性),さなぶり(田植えじまいの祝い,または休み日),祭(夏祭,もとは葵祭をさした),安居(あんご)(仏家の夏の修行),蛍狩,鵜飼,時鳥(ほととぎす),蟬,鯉幟(こいのぼり),夏越(なごし)(陰暦6月の晦日。茅(ち)の輪くぐりなどの祓(はらえ)が行われる),菖蒲湯(端午の節句の邪気払い),卯(う)の花,木下闇(こしたやみ)(夏の木立の昼なお暗いさま),鮓(すし),心太(ところてん)。…

【日本列島】より

…なお,五月晴れは,もともとは梅雨の合間の晴天をいったが,いまは5月(陽暦)の晴天を指す場合が多い。 麦秋麦が実り熟して取り入れる初夏のころ,または旧暦4月の異称。 走り梅雨本格的な梅雨に入る前の5月下旬ごろに数日間続くぐずつき模様の天気のことで,〈梅雨の前ぶれ〉などともいう。…

【小津安二郎】より

…茂原英雄によるトーキー技術の開発を待ってサイレントを撮り続けたが,《一人息子》(1936)で音響の世界に接し,大船の新撮影所で,新たなカメラマン厚田雄春とともに《戸田家の兄妹》(1941)や《父ありき》(1942)で〈小津調〉を確立。戦後は笠智衆と原節子とを主演に迎えた《晩春》(1949),《麦秋》(1951),《東京物語》(1953)が名高いが,いずれも野田高梧との共同脚本。カラー時代に入っての《彼岸花》(1958)や《秋日和》(1960)では物語性が極度に希薄となり純粋な抽象性に近づくが,同時にかつての大学生が会社重役や大学教授となって登場してナンセンス喜劇の味を回復する。…

※「麦秋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android