季節的失業
きせつてきしつぎょう
特定の季節に限って発生する失業の形態をいう。季節の自然的条件によって制約を受ける産業(農産物加工、建設業など)または社会生活上の慣習から季節的影響を受ける産業(花火、クリスマス用品の製造など)において閑散期に操業度が低下した場合に発生する。季節的な制約を受ける産業すべてで季節的失業が発生するわけではなく、資本規模が大きい場合は多角経営を行うことによってその制約を緩和することが可能である。季節的失業を防止し通年雇用化を促進する目的で、雇用保険法(昭和49年法律第116号)に基づく雇用安定事業のなかに事業主に対する通年雇用奨励金が設けられたが、2017年(平成29)4月より通年雇用助成金に名称変更された。
[伍賀一道 2022年8月18日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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季節的失業 (きせつてきしつぎょう)
産業の季節的繁閑による労働需要の変化が著しく大きいために生ずる失業。農業における農閑期の農業労働者の失業が典型例であるが,冬の積雪による建設業およびその関連産業などでも季節的失業は発生する。
執筆者:黒田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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季節的失業
きせつてきしつぎょう
seasonal unemployment
産業の季節的繁閑による労働力需要の変化によって生じる失業のこと。農業労働者の農閑期における失業などがあげられる。日本においては,労働力不足経済の進行,職業紹介や交通,通信手段の発達などとともに季節的な失業は表面化しなくなったが,一方では出稼ぎ労働の増大に伴って農村の過疎などの問題が生じてきている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の季節的失業の言及
【失業】より
…摩擦的失業と構造的失業とは,定義上やや重なりあう部分があるが,後者はあくまでも経済の中・長期的変化への調整の過程に注目している点が重要である。 そのほか,農業や土木・建築などの屋外労働が,年間中の特定の時期ないし季節に集中するために起こる失業を季節的失業と呼ぶことがある。
[失業対策]
需要不足型の失業に対しては,伝統的な総需要管理政策が有効となるが,この政策を摩擦的・構造的失業に対してとると,経済全体にインフレ圧力を加えるだけに終わる場合が多い。…
※「季節的失業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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