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建設業 ケンセツギョウ

デジタル大辞泉の解説

けんせつ‐ぎょう〔‐ゲフ〕【建設業】

土木・建設に関する工事をする営業

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百科事典マイペディアの解説

建設業【けんせつぎょう】

土木・建築の工事を行う産業土建業とも。日本では第2次大戦まで親方・子方,組などの半封建的労務形態,それに依拠する低賃金労働力の大量投入など,遅れた産業の典型と目されていた。
→関連項目ゼネコン

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世界大百科事典 第2版の解説

けんせつぎょう【建設業】

土木および建築とそれに付帯する工事を施工する産業。建設業の対象になるのは,主として構造物を土地に固定する工事であるが,土地の掘削や地盤の改良,設備工事等も対象になる。 日本における建設投資を建築・土木別にみると6対4程度,公共・民間別では3対7程度になっている。また国民経済的には,建設業は,国内総生産の10%強,総就業人口の約10%を占め,欧米各国等と比べきわだって高い。
[日本における沿革]
 文明発祥以来,人類は農業をおこし都市や国家をつくるなかで長い建設活動の歴史を有するが,産業としての建設業の誕生は意外に新しい。

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大辞林 第三版の解説

けんせつぎょう【建設業】

土木・建築に関する工事を請け負う営業。建設業法(1949年制定)の規制を受ける。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

建設業
けんせつぎょう

建設工事を施工することを主としている事業。この場合、建設工事とは、(1)建築物、土木施設、その他土地に接着する工作物とそれらに付属する設備を新設、改造、修繕、解体、除去および移設すること、(2)土地、水路などを改良、造成すること、(3)機械装置を備え付け、解体、移設することである。[加藤佑治]

沿革

日本の建設業が近代的な姿態をまとうようになったのは第二次世界大戦後のことである。戦前の段階においては、建設業という呼称さえなく土木建築請負業とよばれ、独立した産業として社会的にかならずしも認知されていなかった。そこで請負業としての成立をたどると、その端緒は、江戸時代の仕事師(鳶(とび))や大工などの棟梁(とうりょう)にみいだされる。だが、それが本格的形成をみるのは明治以降のことである。すなわち、この段階の建設業の代表的な経営としては、19世紀前半に創業された清水(しみず)組、鹿島(かじま)組などがあるが、これらは、日本資本主義の成立過程で増大した鉄道、電力、工場などの大規模な工事需要に結び付くことによって、その基盤を固めた。その後、大正、昭和初期にかけて、これらの経営は資本主義の発展とともに膨張し、やがてその経営形態も同族的な個人経営から合名、合資、株式会社といった資本主義的企業としての組織をしだいに整えていった。
 これら第二次世界大戦以前の段階の建設業の生産技術水準はおしなべてきわめて低位であり、その労働手段の機械化が本格化するのは戦後の高度「成長」期をまたねばならなかった。したがって労働手段の大半は、道具とそれの単に大型化した程度のごく簡単な機械にとどまった。また建築工事の資材としては、当初の木材に加え、れんが、タイルなどが導入され、さらに大正期以降のビル工事の増大を通じて、鉄骨、コンクリート、鉄筋コンクリートなどが普及をみた。[加藤佑治]

特徴

建設業は本来、他の産業ないし文化の基盤を形づくるものであり、国民経済に深いかかわりを有する。したがって、建設業は経済の発展に応じて発展してきたが、他の産業とは別個の特徴を有する。
 第一に建設業の生産は、原則として特定の注文者の注文によって行われる受注産業である。したがって通常一般の需要者を対象として市場生産を行うことがない。建設業は、一般的には、規格化された商品生産のように資材設備や労働力を準備して計画的に生産することがむずかしい。このために自主的に量産方式をとりにくく、また厳密な原価計算をすることができないので、その経営はしばしば安定性がなく、投機的なものになる傾向がある。
 第二に建設業は、一般製造業のように定置産業ではなく、いわば移動産業である。したがって注文者の注文に基づいて生産の場所を移転する。したがって機械や労働力の能率的な利用が妨げられる場合が多く、経営の集中管理が困難である。
 第三に建設業にあっては、天候の都合によって工事の中止を強いられるといった自然条件の強い影響を免れがたい性格を有する。
 第四にその生産活動において、鉄鋼、セメント、木材など他の工業生産物の供給を受け、これらを加工したり組み立てる産業である。したがって建設業は原材料費の全工事費に占める割合が大きく、一般産業ときわめて密接な関係をもっている。[加藤佑治]

世界の建設業

各国の建設業は、それぞれ国民経済の発展に重要な役割を果たしている。しかし第二次世界大戦後の復興から経済の「成長」の段階を経て、1970年代に入ると、各国の諸条件によりかならずしも一様ではないが、国際的な経済危機のもとで全体として各国のGNP(国民総生産)に占める建設投資額の構成比は停滞の度を募らせている。これを、発達した資本主義国の1964年と79年の建設投資額のGNPに占める構成比の変化としてみると、64年には5か国のすべてが10%以上であったにもかかわらず、79年には日本と旧西ドイツを除き、いずれも10%を下回った。80年代後半以降はアジア諸国の経済発展が顕著となり、2000年代初頭の対GDP(国内総生産)比は、欧米諸国はおおむね4~8%前後にとどまっているが、アジア諸国は、韓国(2002年、約16%)をはじめ平均10~15%前後で推移している。日本は1980~90年度は約15~18%前後で推移していたが、91年度以降は減少を続け、2003年度では10.8%となっている。
 世界の建設業の構造的な特質を一言にしていえば、各国とも零細企業の比率が圧倒的に高いことにある。とくに建設業のなかにおいて1人の従業員ももたない業者、いわゆるone man firmsの占める比重が他の産業に比較して非常に高いことである。このように零細企業が大きな比重をもっている反面、他方では大建設会社が巨大な生産力と優秀な生産性を誇っている。
 たとえば、2003年度総受注高で国内1位にランクされている大成建設は、資本金943億円、年間受注額1兆2038億円、従業員9558人であり、2位の清水建設は、それぞれ744億円、1兆1937億円、9420人、また3位にランクされている鹿島建設は、それぞれ641億円、1兆1781億円、1万0161人(2003現在)など、他の重化学工業部門の独占体に匹敵するマンモス企業である。
 また欧米各国における建設業がわが国のそれと著しく相違していることは、一つに下請(したうけ)業者sub-contractorの意義と機能であろう。後述するようにわが国の建設業では、下請業者は多分に労務提供業者的役割をしているのに反し、欧米では専門職種別の業者specialistであり、わが国のように元請(もとうけ)に対して労務のみを提供するようなことは少ない。もう一つは、上記のような状況とも関連して、日本の労働組合の交渉機能がきわめて弱く、とくにゼネコン(総合工事業者)が統括する野帳場(のちょうば)の現場労働者はごく最近までまったくの未組織状態にあったのに対し、欧米では建設業の労働組合はそれぞれの国の労働運動史に欠かせない枢要な存在であるとともに、現在でも無視できない影響力を行使していることである。[加藤佑治]

日本の建設業

前述したように、国民経済における建設業の占める地位は各国とも依然低いものではないが、わが国のそれはとくに高い位置にある。とくにいわゆる高度「成長」の過程で建設業の比重は急速に高まった。すなわち、その間の建設投資額の推移をみると、1955年度(昭和30)の約1兆円から、72年度の約21兆円へと実に20倍以上となっている。この結果、建設業は他産業を上回る生産の伸びを実現し、その就業者数も急速に増加した。
 1973年のオイル・ショックは、日本経済のそれまでのような急速な膨張の条件を喪失せしめ、実質建設投資額は80年代に至るまでほぼ横ばいのままに推移してきたが、それに国家財政の赤字―公共工事支出抑制も加わり、かつてない構造的な危機と再編に直面している。
 こうして今日わが国建設業は、一方で東京湾横断橋に代表される大規模プロジェクトの企画と実現、都市再開発工事促進のための諸規制の撤廃、さらに増改築など小規模工事市場への進出など需要の創出に努め、他方で狭まる国内市場のかわりにその活路を海外建設市場に求めるようになっている。また国内外におけるシェアの拡大を目ざし、経営体質を受動的な請負から知識集約的なエンジニアリング、アドバイザー、調査、設計などを中心とする脱請負志向を強めるとともに、企業間の受注競争が激化の度を募らせている。
 一方における超大型企業の君臨、他方における中小零細企業群の存在は、各国建設業にみられる現象であるが、それはわが国においても例外ではない。すなわち、わが国建設業の大部分にあたる97%が資本金5000万円未満の中小業者で占められている(2000現在)反面、わずか1%にも満たない資本金1億円以上の会社が施工総額の43%を占めている。この構造的特質は、受注競争の激化のもとでいっそう顕著になりつつあり、中小企業を中心に、年間6000件近い高水準の倒産が、受注の減少を主要な一要因として続発している。
 そしてこの中小建設業の多くは、日本の建設業の特徴でもある下請構造における特殊な役割を担っている。すなわち、わが国下請制度は、元請→親方→職人という下請の形態を基礎として、たとえば、元請→名義人→大世話役→世話役→棒心(ぼうしん)→労働者というように重層化しており、元請と労働者の間に多くの中間業者が介在している。そしてこれらの中間業者は、通常「○○工務店」を名のっているが、往々にして整備された労働手段をもたず、労働力のみを提供するいわゆる「人入れ稼業」的側面を強く有している。このような下請編成は元請資本にとっては、あたかもルーズな軟体動物の手足のように、需給の変動に対応して末端から切り離し、またとってつけることを可能にしている。
 また同時にこの編成は、費用損失の転化の機能をも果たしている。すなわち、元請から現場に至る重層的な下請制度の各階層で、所定の利潤が順次先取りされて、そのしわ寄せが下請に、さらにその次の下請に、そして最後に末端の下請労働者に及ぶという形になっている。
 高度成長期以来の建設生産力の高度化を経て、近年のその傾向は、機械化の点では野帳場では連続化、自動化、システム化が広がる気配を示し、ダム工事では1956年完成のかの佐久間ダム工事の約10倍の生産性を実現している。また戸建て住宅については、プレハブや2×4(ツーバイフォー)工法が比率を高め、木造在来工法の地位はしだいに低下するとともに、住宅の部品化も急速に進んでいる。こうしたなかで、伝統的な熟練労働力が陳腐化傾向を示すとともに、不熟練重筋労働力も機械にとってかえられつつあり、短期の見習いで習得できる、あるいは見習い経験の要しない半熟練型を主体とする労働力の比重を高めている。
 こうした生産過程の変動に伴い労務供給的な下請制度は、元請のコスト削減、工期の短縮などの要請によって、一方で現場労働者に対する直接の支配、管理を強化するとともに、他方では下請育成の名のもとに名義人の企業化が図られ、その配下の世話役親方の技能養成をはじめとするいくつかの自立的機能を元請および一次下請企業が吸収するという形で、しだいに再編されてきた。したがって下請再編は、従来の労務下請業者の上層部分を、企業としての自立的形態をとらせつつ収奪することによって、元請資本の競争力を高めるという工業においてみられる蓄積方式を、建設業において具体化させようとするものといえよう。
 しかしながら、その蓄積方式は、階層的な下請構造の末端における労働者集団の分断、したがって無権利で劣悪な賃金、労働条件とセットされることにより初めて大きな意義をもつことになる。それゆえに、労務下請とそれにより供給される労働者は、元請にとって不可欠な存在となってきている一次下請企業育成策の成否を左右するという新たな存在意義を付与されながら、建設業における下請制の特質として依然重要な位置を占めているのである。[加藤佑治]
『原沢東吾著『日本建築経済史』(1944・冨山房) ▽独占分析研究会編「鹿島建設株式会社」(『日本の独占企業4』所収・1970・新日本出版社) ▽高梨昌著『建設産業の労使関係』(1978・東洋経済新報社) ▽中村賀光著『建設業界』(1981・教育社) ▽加藤佑治著『現代日本における不安定就業労働者』上下(1980、82・御茶の水書房) ▽内山尚三著『建設産業論』(1983・都市文化社) ▽加藤佑治著『現代日本における不安定就業労働者』増補改訂版(1991・御茶の水書房) ▽日刊建設工業新聞社編集局著『大手建設企業の変貌――21世紀建設経営への指針』(1991・日刊建設工業新聞社、相模書房発売) ▽長門昇著『建設業界用語辞典(1993・日本実業出版社) ▽長門昇著『建設業界再生への挑戦――新入札制度と開放政策で53万業者は…』(1994・日本実業出版社) ▽宗重博之著『図解でわかる建設業界勢力地図――いま巨大産業で何が起こっているのか』(1996・ぱる出版) ▽金本良嗣編『日本の建設産業――知られざる巨大業界の謎を解く』(1999・日本経済新聞社) ▽椎野潤著『建設ロジスティクスの新展開――IT時代の建設産業変革への鍵』(2002・彰国社) ▽渡辺一明著『新版 図解 建設業界ハンドブック』(2002・東洋経済新報社) ▽建設経済研究所編著『縮小が続く建設市場と建設産業の活路』(2002・大成出版社) ▽建設経済研究所編著『新たな対応が求められる建設産業と効果的な公共投資・都市再生』(2003・大成出版社) ▽和田肇・川口美貴・古川陽二著『建設産業の労働条件と労働協約――ドイツ・フランス・イギリスの研究』(2003・旬報社) ▽鈴木一著『変わる建設市場と建設産業について考える』(2004・建設総合サービス) ▽古川修著『日本の建設業』(岩波新書)』

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