季節の影響により操業度の変動が著しい産業に就労する労働者をいう。繁忙期には長時間労働と高い労働密度を強いられるが、閑散期には過少労働や仕事の欠乏に直面する。総務省の「就業構造基本調査」では、年間就業日数が200日未満で、ある季節だけ仕事をしている者を季節的就業者と定義している。同調査によれば、季節労働者(自営業者、家族従業者を除く)の数は1960年代から1980年代初めにかけて増加した後、漸減傾向にある。1962年(昭和37)17万2000人、1971年39万3000人、1982年53万人、1992年(平成4)49万2000人、2002年(平成14)43万5000人、2012年39万0200人、2017年37万2600人。2017年時点の季節労働者の産業別内訳は農業がもっとも多く(7万8000人)、これに製造業(4万3000人)、卸売業・小売業(3万7300人)が続いている。製造業のなかでは酒造業の杜氏(とうじ)に代表されるように食料品製造業(1万9900人)の季節労働者が半数近くを占めている。都道府県別では北海道がもっとも多く(4万1500人、全体の11.1%)、これに東京都(2万6100人、7.0%)や愛知県(2万0400人、5.5%)、大阪府(1万5500人、4.2%)、千葉県(1万5300人、4.1%)が続いている。
季節労働者にとっては仕事がない期間の生活の維持が課題であるが、雇用保険法(昭和49年法律第116号)によって一定の要件を満たせば短期雇用特例被保険者となり、失業時に特例一時金を受給できる。また、厚生労働省は北海道、東北地方など積雪または寒冷地域の事業主に対し、季節労働者を冬期間も継続して就業させた場合などに通年雇用助成金を支給している。
[伍賀一道 2022年8月18日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…生活の本拠をおいている地域(居住地)を一時的・季節的に離れて,他の地域で一定の期間就労する形態をいい,その就労者を季節労働者という。一家の離村ではなく単身または世帯員の一部の者の移動であること,そして,就労先で得た収入は家計と密接な関係があること,なども出稼ぎの特徴である。…
※「季節労働者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加