学部外組織(読み)がくぶがいそしき

大学事典 「学部外組織」の解説

学部外組織
がくぶがいそしき

大学における教育,研究,社会貢献活動を促進または支援するために設置される学部以外の組織総称。研究所,各種センター,図書館などがある。

[学部外組織に関する法規定]

学校教育法96条において「大学には,研究所その他の研究施設を附置することができる」と定められ,これを受けて学校教育法施行規則143条の3で「大学に附置される研究施設として,大学の教員その他の者で当該研究施設の目的たる研究と同一の分野の研究に従事する者に利用させるものを置くことができる」と規定する。これら大学に附置される研究施設として,たとえば医科学研究所,ウイルス研究所,化学研究所,数理解析研究所,原子炉実験所,防災研究所,東洋文化研究所,人文科学研究所,社会科学研究所,経済研究所,生産技術研究所,史料編纂所,分子細胞生物学研究所,宇宙線研究所,物性研究所,大気海洋研究所,総合研究博物館,アイソトープ総合センターなどがある。

共同利用・共同研究拠点]

大学研究所のうち,学術研究の発展にとくに資するものは,共同利用・共同研究拠点として文部科学大臣認定を受けることができる(学校教育法施行規則143条の3)。共同利用・共同研究拠点では,個々の大学の枠を越える大型の研究設備や大量の資料・データ等を全国の研究者が共同利用したり,それらを利用した共同研究を展開する。2017年4月現在,53大学(28国立大学,25公私立大学)105拠点が認定されている。共同利用・共同研究拠点に認定されると,設備整備や共同利用に係る経費について,国からの重点的予算配分が行われる。国としての政策的判断や多額の予算措置をともなう共同利用・共同研究拠点の設置を計画する場合,国立大学法人であれば,あらかじめ各法人の中期計画に記載し,文部科学大臣の認可を得る必要がある。

[学部外組織の運営

大学の教育研究組織は,各大学の自主的な判断で柔軟かつ機動的に編制することによって学術研究の動向や社会の要請等に適切に対応し,大学の個性化に寄与することが求められている。そのために,学科以下の組織の改変については法令に規定せず,各大学の予算の範囲内で随時設置改廃を行うことになっている。共同利用・共同研究拠点を除く各大学の研究所・施設の運営についても各大学に任され,国からの直接的な関与は行われない。ただし,その研究成果や組織の機能状況については,大学機関別認証評価や国立大学法人評価によって検証評価される。

[大学設置基準で義務づけられる教育研究施設]

大学設置基準では,図書館の設置を義務づけ(36条),学部の種類や規模等に応じ,図書や学術雑誌等の教育研究上必要な資料を系統的に備えることとしている(38条)。また同基準39条では,大学が特定の学部または学科を置く場合,その教育研究に必要な施設として附属施設の設置を義務づけている。すなわち,教員養成に関する学部または学科は付属学校,医学または歯学に関する学部は付属病院,農学に関する学部は農場,林学に関する学科は演習林,獣医学に関する学部または学科は家畜病院,畜産学に関する学部または学科は飼育場または牧場,水産学または商船に関する学部は練習船,水産増殖に関する学科は養殖施設,薬学に関する学部または学科は薬用植物園(薬草園),体育に関する学部または学科は体育館である。また工学に関する学部を置く大学は,原則として実験・実習工場を置くこととされている。これら施設設備の運営も各大学に任されるが,その設置や機能状況については大学機関別認証評価で検証評価され,不備があれば改善指摘が行われる。
著者: 大川一毅

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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