デジタル大辞泉 「宇宙マイクロ波背景放射」の意味・読み・例文・類語 うちゅうマイクロは‐はいけいほうしゃ〔ウチウ‐ハハイケイハウシヤ〕【宇宙マイクロ波背景放射】 ⇒宇宙背景放射 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
知恵蔵 「宇宙マイクロ波背景放射」の解説 宇宙マイクロ波背景放射 宇宙を一様に満たす2.73K(ケルビン)の黒体放射。1965年に発見され、ビッグバン宇宙論の最も重要な観測的証拠とされている。初期宇宙のプラズマ状態では放射は陽子や電子などの荷電粒子と頻繁に衝突を繰り返し、放射と物質は一体となって運動していた。温度が約4000Kに下がった時、陽子が電子を捕獲して中性水素原子を作った結果、放射はもはや物質と衝突せずまっすぐ進めるようになる。この現象を物質と放射の脱結合、あるいは宇宙の晴れ上がりと呼ぶ。この時の放射が宇宙膨張によって波長が伸びて、現在2.73Kの放射として観測されたのが宇宙マイクロ波背景放射。密度ゆらぎに起因する温度ゆらぎは10万分の1程度のゆらぎで、天球上でどの角度スケールにどのくらい大きなゆらぎがあるかは宇宙の構造によって決まり、それを観測することでハッブル定数、密度パラメータ、宇宙定数についての制限を得ることができる。 (谷口義明 愛媛大学宇宙進化研究センターセンター長 / 2008年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報