地球上ならびに地球外に生存すると予想される生物に対する宇宙環境因子の影響を探究し、生物生存の実態および生命現象のより普遍的な仕組みや生命の起源などを明らかにしようとする学問。
宇宙における生物については、今日までのところ、太陽系においては地球にのみその存在が認められている。これは、地球が、生物にとって適当な温度にある生物温度層、ならびに湿度も適当でかつ酸素分圧も適当な生物生存層に位置しているためである。太陽系の他の天体には、現在、生物は存在していないし、生存していた証拠も発見されていない。
宇宙生物学の第一の問題は、地球以外の天体に生物を発見することである。その方法には、アミノ酸の存在の証明、生物の化石の発見、あるいは写真やテレビによる生物の姿の撮影、生物の糞便(ふんべん)の発見や生物の声の採取などがある。さらにこれらに関連して、他の天体の土壌を地球に持ち帰って分析する、あるいはその天体で自動分析装置によって分析したデータを地球に送るといった方法もある。
太陽系以外の銀河系に生存しているかもしれない生物、なかでも高度の文明社会をもつと考えられる生物に対しては、大形パラボラ受信系による通信や、銀河系に無限に飛行する飛行物体を打ち上げることでコミュニケーションを図ろうとしている。
宇宙生物学の課題に、宇宙の環境条件、とくに無重量状態と生物の生存の関係の研究がある。無重量状態のなかでの生態、成長についてさまざまな研究が進められ、宇宙生態学ともいうべき分野が開かれている。このほか、宇宙線などによって生物が突然変異をおこすかどうかなど、宇宙の環境条件が催奇性を有するかどうかの研究も進められている。宇宙生物学は宇宙医学と並んで、地球人が宇宙人となるために必要な研究を進めていると考えてよい。
[大島正光]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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